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くくりの外にいる ぼくの伯父さん

雨がしとしと降っている夜です。

今日も りこちゃんと こざる達は、いつものように 皆で一緒に 夕飯を 賑やかに食べて ラジオを聴きながら 食後のお茶を飲んでいます。

ラジオからは、皆が大好きな曲が流れてきます。

「あ!この曲は『ぼくの伯父さん』だね!」
「りこちゃんも ぼく達も、とっても大好きなフランス映画だよ。」
皆、うんうん頷きます。

1958年のフランス映画、ジャック・タチ監督の作品です。

「このテーマ曲が聴こえると、なんだかウキウキしてきて楽しくなるんだ。」「タチ監督が、ユロ伯父さんを演じているんだよ。」

そう、ムッシュ・ユロです。

「"ぼく"のお父さんは、お金持ちの社長で、郊外のモダンでお洒落な邸宅に住んでいるんだけど、ぼくは毎日が何だか窮屈に感じていて、下町に住んでいるユロ伯父さんと遊ぶのが大好きなんだ。」

ユロ伯父さんは、お母さんのお兄さんです。

「ユロ伯父さんは無職なんだけど、寅さんみたいに とっても楽しいんだよ。」
「特別なストーリーや 仕掛けがある映画じゃないんだけど、観ていて 懐かしくて ほっとする感じなんだ。」

子供の頃、毎日、たくさん遊んでいた楽しい記憶が思い起こされるような そんな映画です。

「昔は どこにも属していない空き地が、そこら辺にたくさんあったよね?」「うん、そうだね。そこで遊んでも何も問題なかったよね。」

そういえば 今は空き地があっても、柵があったりして勝手に入れませんね。それに空き地も あまり見かけません。

「ユロ伯父さんは、そういう空き地みたいな感じがするな。どこにも属していない、自由な人なんだ。」「ちょうど寅さんみたいな感じだよね〜、りこちゃん」

寅さんが大好きな りこちゃんがニコニコ頷きます。

寅さんも そんな人ですね。そういう ゆとりがある世の中でした。人も空間も、どこかに属していないこともあって、それもまたよしとする、そんな余裕ある時代だったのかもしれません。

「今度の週末に また皆で観ようか?」「うん! 」

皆、ニコニコ嬉しそうです。

ラジオからは、まだテーマ曲が流れています。こざる達は 曲に合わせて踊ります。りこちゃんも笑顔で見ています。

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくりのんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
明日は少し蒸し暑くなるようですので、熱中症にも気をつけてください。
よい毎日でありますように (^_^)

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