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里山の花火とトウモロコシ

今日は台風が気になりましたが、
こざるカフェがある地域では、日中は ずっと晴れていて、
雨の心配はなくなりました。

「風が強いよー。」
朝からずっと強い風が吹いています。

「りこちゃんや、ぼく達は、重しをつけていないと風に飛ばされちゃうねー。」
「メリー・ポピンズか、オズの魔法使いだね。」
「風の又三郎だってあるよ。」

こざる達は、今日も賑やかに おしゃべりしながら、
夕飯の仕度をしています。

「今日は土用の丑の日だから、鰻の散らし寿司だよ!」

こざる達は、鰻が大好きなりこちゃんが
出来るだけ美味しく食べやすいようにと考えて工夫して、
先日、予行演習もやりました。

「それから新鮮なトウモロコシがあるんだ!」
「今朝採ったトウモロコシ、お客さんが持ってきてくれたんだよ。」
こざる達は皆、嬉しそうです。

「今夜は隅田川の花火大会があるから、テレビで見ながら、
夕飯食べるんだ。」
「以前は、りこちゃんも毎年観に行っていたから喜ぶよ!」

テレビで見ながら、鰻とトウモロコシ、いいですね。

「焼きトウモロコシも作ろうよ!」
「いいね、お祭りみたいだね。」
皆、うんうん頷きます。

「昔、里山で暮している りこちゃんの友人の家に遊びに行ったことがあったよね。」
「"里山の"りこちゃんのとこだよね。ちょうど今くらいの時期で、地元のお祭りがあるからって、
皆で行って泊まらせてもらったんだ。」

同じ名前の 里山に暮す りこちゃんは、こざる達と一緒に暮らす りこちゃんの古くからの友人です。
こざる達は、楽しかった その時のことを思い出しています。

地元の小さなお祭りは、中学校の校庭で行われて花火も上がりました。
「都会の大きな花火大会と違って、すぐに終わっちゃうわよ。」
"里山の"りこちゃんは笑いながら言いました。
けれども、たくさんの花火が上がって、それはそれはとても美しかったのです。

「都会と違って、夜は真っ暗で、星がたっくさーん見えて、流れ星も見えて、
そんな夜空に花火がポーンと上がるんだ。」
「花火が消えると、また暗くなるんだよ。」

夜でも明る過ぎる都会とは全く違う 物語のような花火でした。

「そして都会と違って、静かなんだ。」
「花火の音だけが響いているんだよ。」

花火が消えると、静かになります。
夜の静けさ、静寂を こざる達も感じました。

「シーンっていう音が聞えてきそうな、そのくらい静かなんだよ。」

とても幻想的でした。

「あの時、皆で食べたトウモロコシ、とっても美味しかったね。」
皆、うんうん頷きます。

食べ物は こんな風に思い出と結びついて、
それを食べると、またその時の記憶を呼び起こすような そんな感じがします。
無意識のうちに、いろんなものが記憶とつながっているのでしょう。

「今夜は また楽しい夕飯になるね。」
「りこちゃんも、きっと喜ぶよ。」

夕飯の仕度が出来たようです。

「りこちゃん、呼んでくるねー。」

こざるちゃんが、りこちゃんの部屋へ向かいます。

「りこちゃーん、夕飯できたよ! 隅田川の花火大会見ながら、
鰻とトウモロコシ、皆で食べよう!」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
やっと夏本番ですね。
よい毎日でありますように(^_^)

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