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一日遅れの クリスマスプレゼント

 クリスマスが終わって、年の瀬の今日、
こざるカフェは、いつものように のんびりと営業中です。

 そこへ宅配便屋さんが やって来て、
りこちゃん宛に 小さな包みが届きます。
「誰からだろう?」
「あ、"里山の" りこちゃんからだ!」

 "里山の" りこちゃんは、
こざる達と一緒に暮らす りこちゃんの 昔からの友人です。
遠く里山に暮しているので、"里山の" りこちゃんと呼んでいます。
そうです、二人は同じ名前、二人とも りこちゃんなのです。

 こざるちゃんは、りこちゃんの部屋へ包みを持って行きます。

「りこちゃん、"里山の" りこちゃんから何か届いたよー。」
「あら、懐かしいねぇ。」
「何だろう? 開けてみようよ。」

 こざるちゃんは、何が入っているのか見たくて、ワクワクしています。

 りこちゃんは、ゆっくりゆっくり開けます。
おばあさんなので、素早くできないのです。
こざるちゃんは、じっと待ちます。
別に、早く開ける必要はないのですからね。

 丁寧に包まれた包装紙から出てきたのは、
美しい紫色の毛糸で編まれたマフラーです。

「まぁ」
りこちゃんは、嬉しそうに目をキラキラさせています。
「わぁ、とっても綺麗だねー、りこちゃん。」

こざるちゃんは、マフラーをさわってみます。
「毛糸フワフワで、とっても暖かいよ。」

小さなカードも一緒に入っています。

「りこちゃんへ
クリスマスのプレゼントに、
マフラーを編もうと思っていたのですが、
うまく編めませんでした。
私も 年をとりました。
代わりに、このマフラーを贈ります。
きっと りこちゃんに似合うと思います。
クリスマスに間に合わなかったけれど、使ってくださいね。りこ」

「このマフラー、"里山の" りこちゃんの心がこもっているね。」
こざるちゃんが言います。
「そうだよ。そうだよ。」
りこちゃんは、うんうん頷きながら、嬉しそうにしています。

「そうだ! りこちゃん、
このマフラーを巻いて、それで皆で写真を撮ろうよ。
そして、"里山の" りこちゃんに送ろうよ。」
こざるちゃんも嬉しそうに言います。

 外は 青空、いい天気です。
雲が ゆっくりと風で 流れていきます。

「あの雲は、"里山の" りこちゃんのところまで行くよ。
りこちゃんの『ありがとう』を届けてくれるよ。」

 りこちゃんと こざるちゃんは、一緒に雲を眺めます。
きっと、"里山の" りこちゃんも、
空を眺めて、同じことを思っているでしょう。
遠く離れていても、ゆっくりと 同じ時間が流れています。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
明日から年末の大寒波がやって来るようです。
皆さま、どうぞ体調管理に気をつけてお過ごし下さい。
よい毎日でありますように (^_^)


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