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今日は コロッケにしよう!

今日は朝からずっと雨でしたが、
午後になって上がって、だんだんと明るくなってきました。

こざる達は、いつものように賑やかに おしゃべりしながら、
夕飯の仕度をしています。

「今日の夕飯はコロッケだよ。」
「こざるカフェのランチでも コロッケ定食を出したんだ。」

「コロッケにしよう!」
昨夜、こざる達が、あーでもない こーでもないと、
翌日のメニューを考えている時に、
こざるちゃんが、きっぱりと そう言ったのです。

「何でかっていうと、この本を読んでいたら、
すごくコロッケが食べたくなったんだ。」
そう言って、本を持ってきました。

小野寺史宣さんの『ひと』です。
そして一節を読みました。

「ウチはただの総菜屋。星三つとかいらねえよ。飛び抜けてなくていい。
生まれたての赤ん坊が食っても八十のじいさんばあさんが食ってもうまい。
それでいいんだ。といっても、くれるんなら喜んでもらうけどな。星」

これは主人公の勤務先の砂町銀座にある総菜屋さんの店主の言葉です。

「うん、わかるなー、今、世の中には、たくさん美味しいコロッケがあって、
材料もすごく凝っていたり、調理も工夫していたり、
贅沢で豪華なコロッケが多いけれど、普通のシンプルなコロッケが食べたいね。」
「それこそ王道のコロッケだよね。」
こざる達は、皆、うんうん頷きます。

「りこちゃんも、昔、たくさん作ってくれたね。」
「どんどん揚げていって、出来立てのコロッケを
あちちーって言って、皆で食べて、とっても美味しかったよね。」

昔のお母さんたちは、コロッケをよく作っていました。
りこちゃんも、小さな台所で、たくさん作ってくれました。

「コロッケは、子供の頃の思い出がたくさん詰まっているよね。」
「高級品でなくていいんだよ、庶民の味だから。」

そんなこんなで、今日はコロッケの日なのです。

ラジオからは、こざる達も大好きな歌が聴こえてきます。

「駐車場のネコはアクビをしながら
今日も一日を過ごしてゆく
何も変わらない穏やかな街並み」

ゆずの『夏色』です。


夕飯の仕度が出来たようです。

「りこちゃん、呼んでくるねー。」
こざるちゃんが歌いながら、りこちゃんの部屋へ向かいます。

「大きな五時半の夕焼け
子供の頃と同じように
海も空も雲も僕らでさえも染めてゆくから」

「りこちゃーん、夕飯、出来たよ。
今日はコロッケだよ! 皆で 一緒に食べよう!」

「この長い長い下り坂を
君を自転車の後ろに乗せて
ブレーキいっぱい握りしめて
ゆっくりゆっくり下ってく」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
明日はまた蒸し暑くなるようですので、熱中症に注意です。
よい毎日でありますように (^_^)

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