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ありがとう、イチロー選手

 今日の夕食も昨日と同じように、りこちゃんと こざる達は、
イチロー選手の試合をテレビで観ながら食べました。

 野球の試合は、りこちゃんの 就寝の時間を過ぎても続いていて、
イチロー選手も試合に出ていました。
りこちゃんは「まだ観るよ。」と言って、
こざる達と一緒に 応援していました。

 最後となった打席も、皆、スタジアムにいるつもりで、
きっとテレビで観ていた多くの人たちも同じだと思いますが、
精一杯、応援しました。

そして、守備についてから交替となって、
チームメイトひとりひとりとハグをして、
荷物を持って、ダッグアウトから出て、見えなくなるまで、
りこちゃんも こざる達も、ずっと観ていました。

 そのあと、りこちゃんは 眠りについて、
こざる達は、階下でコーヒーを飲みながら、おしゃべりです。
「イチロー選手、最後の打席も かっこよかったね。」
「うん、ねばって、ねばって、最後はアウトになっちゃったけど
 ダーッて いつものように一塁まで走ってね。」
「こうして、ずっと見ていたイチロー選手が野球するのを
もう見られなくなるんだ。」

こざる達は、しんみりとしてしまいます。

「あのバッターボックスに入る前のルーティンも見られないんだ。」
こざるちゃんは、イチロー選手の真似をしてバットをたてて、
ユニフォームの袖を引っ張るしぐさをします。

「もう明日からは、野球をしているイチロー選手は見られないんだ。」

 ラジオからは、こざる達の とても大好きな歌が流れてきます。
「僕らは きっと待ってる 君とまた会える日々を
 さくら並木の道の上で 手を振り叫ぶよ」

森山直太朗の『さくら(独唱)』です。
こざる達も、一緒に歌います。

「どんなに苦しい時も 君は笑っているから
 挫けそうになりかけても 頑張れる気がしたよ」

こざる達は歌いながら、りこちゃんと一緒に、
あちこちのスタジアムに行って、
他のファンの方々と一緒に声援をとばしたり、
テレビの前で応援したりした、たくさんのことを思い出します。

「霞ゆく景色の中に あの日の唄が聴こえる」

涙ぐんでいた こざるちゃんも、笑顔になります。

「さくら さくら 今、咲き誇る
刹那に散りゆく運命と知って
さらば友よ 旅立ちの刻 変わらないその想いを 今」

今夜も、こざるカフェは ゆっくりゆっくり、
時間が穏やかに流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
イチロー選手、どうもありがとう。
よい毎日でありますように (^_^)

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