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『東京バンドワゴン』で、師走をゆっくり過ごす

 12月になった。
土曜日だからということもあるけれど、静かに師走が訪れた気がする。
騒がしく急がせているのは 人であって、
一日一日、いつもと同じように 朝が来て、夜になって、
また朝がやって来る。
 年越しだって、同じだ。
特別なものにしているのは人であって、
毎日同じように、次の日になるだけだ。

 とはいえ、今年もあと一ヶ月などと言われるし、
年内に、今年のうちにと何度も言われて、
やらなきゃならないことが沢山あるような気がする。
どうしても気が急いてしまうけれど、落ち着いて考えれば、
別に急ぐことは何もないのだと思う。
いつもと同じように、穏やかに のんびりと 今月も過ごしたいと思う。

 そんな時に読みたいと思うのが、
小路幸也『東京バンドワゴン』シリーズの物語。
東京の下町にある東京バンドワゴンという明治時代から続く
老舗の古本屋が舞台の物語。

 堀田家は『文化文明に関する些事諸問題なら、如何なる事でも万事解決』を家訓とする 大家族(ちょっと訳あり!?)。
 賑やかな毎日の暮らしと 近所で起こる様々な 騒動や珍事件、
ドタバタを 皆で解決していく、涙あり笑いありのホームドラマだ。

 毎回、ちょっとした騒動があるのだけれど、
人情味があって広く深い心をもった 優しい人達ばかりなので、
自分も下町のご近所さんのような、そんな気分で安心して楽しく
読むことができる。
 賑やかで楽しい 大家族の食事の光景や、何気ない普段の日常の様子、
その季節の描写が とても丁寧に描かれているところも いいなと思う。
また会話もテンポよく、読んでいくと登場人物たちの声も
聞こえてくる感じがする。

 シリーズの中の『ヒア・カムズ・ザ・サン』には、
クリスマスから、お正月の様子が描かれた話も入っていて、
この師走に また読もうと思う。
心も温かく、気分もよく、穏やかに 師走を過ごせそうだ。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
暖かい日が多いのはよいのですが、だいぶ空気も乾燥しています。
水分補給をなさって、ご自愛ください。
よい毎日でありますように (^_^)

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