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音楽がある幸せ

「あれ、雨が降ってるよ。」
「え? 雨?」
「本当だ、雨だね。」

晴れていたら夕焼けの時間ですが、
今日は 夕方から曇ってきて、そして小雨がぱらついています。

今日も こざる達は いつものようにお喋りしながら、
賑やかに夕飯の仕度をしています。

「晴れていないと、もうあっという間に暗くなるね。」
「うん、すぐ夜だよ。」

ラジオから、どこか懐かしい、優しい気持ちになるような曲が
流れてきます。

「ああ、いいねー。」
「うん、ぼく、この曲、大好きだよ。」
「りこちゃんの古いレコードにも入っているよね。」
「りこちゃんも大好きだよ。」

ドヴォルザークの交響曲第9番の第2楽章です。
編曲されて『家路』としても親しまれている曲です。

「そうだ!」
こざるちゃんが、小さな白い本を持ってきます。

「どれどれ、あ、谷川俊太郎さんだね。」
こざる達は、覗き込みます。

表紙に『幸せについて』と書いてあります。
そして、谷川さんの手書きの文字で
「一度でも
ナマで幸せを
体験していれば
コトバの幸せの嘘に
だまされることはない」
と書いてあります。

「ちょっと読むよー。」
こざるちゃんは そう言って、本を開いて読みます。

「コトバには意味がつきまとうから、不幸せになりやすい、
音楽には意味がないから、幸せになりやすい。」

皆、うんうん頷きます。

「うん、本当にそうだよ。音楽って、聴いているだけで嬉しいし、
幸せだよ。」
「違う言語を持っていても、曲を聴くと、同じように嬉しいと感じたり、
または悲しいと感じたりして、言葉の壁がないよ。」
「すごく昔の人の曲でも、今、こうして聴くと、同じような感情を抱くよね。」
「音楽は時空を越えるんだ!!」


夕飯の仕度が出来たようです。

「りこちゃん、呼んでくるねー。」
こざるちゃんが、ハミングしながら
りこちゃんの部屋へと向かいます。

「りこちゃーん、夕飯、出来たよー。
今夜は キャベツたくさんの野菜餃子だよ!
美味しい白飯と 大根と油揚げの味噌汁もあるよ!
皆で一緒に食べよう!」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
また台風が来ていますので、皆様、どうぞ気をつけて、ご無事で。
よい毎日でありますように (^_^)

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