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未完でいい、何度でもやり直していい

 今日も寒くて、朝からどんよりと曇っています。
お昼頃には、少し小雨も降ったようです。
こざるカフェの周りのソメイヨシノは、
まだ枝に残っていますが、散り始めています。

 こざる達は、皆で ワイワイ おしゃべりしながら、
夕飯の仕度です。
先程、遅いお昼を食べに来てくれた女性の話をしています。
営業の仕事で、時々 この辺りに来ると、
こざるカフェに やってきてくれます。

「しばらくぶりだったけれど、病気だったんだね。」
「うん、心配したけれど、治って元気になって、よかったね。」

 ここしばらく来ていなかったので、どうしたのだろうと、
こざる達も心配していました。
少し入院もしていたようですが、今は、すっかりよくなって、
こざる達も、よかったよかったと安心して喜びました。

「病気して、いろいろ考えて、諦めていた絵を
また本格的にやるって言ってたね。」
「うん。とっても嬉しそうだったよ。」

 若い頃、美大の受験に失敗して、
きっぱり諦めた絵をまたちゃんとやろうと、
療養中に考えて決めたそうです。

「今まで ずっと仕事で忙しくて、考える時間がなかったけれど、
病気になって、いろいろと考える時間があったんだよね。」

こざる達は、彼女に横尾忠則さんの言葉を伝えました。
「人間は未完で生まれてきて、
未完で生きて、未完で死ぬんだから、
未完でいいじゃないかっていう考え方が
基本的にどこかにあるんですよ。
また完成したきゃ、また戻ってきて、またやればいいじゃないかっていう。
完成を目指して生きていくんだけれども、
そういう生き方は しんどいですよね。」

こざる達は、以前、テレビで横尾忠則さんが、
穏やかに こう言っているのを聞いて、本当にそうだなぁと思って、
皆で、うんうん、頷いていたのです。

「そう言ったら、パーって顔が明るくなった感じだったよね。」
「うん。何度でもやり直していいんだよ。」

そうです。
何度でも、やり直せばいいのです。
何度でも、やり直していいのです。

「りこちゃんも、やりたいことがあったら、
やればいいんだよって言ってたよね。」
「うん。一度 決めたことでも、また状況が変わったり、
気持ちが変わったら、決めたことを変えればいいんだってね。」
「そうだよ、りこちゃん得意の臨機応変だよ!」
こざる達は、笑います。

「頭をやわらかくして、柔軟に、だよね。」
窓の外も明るくなってきました。

「わぁ、夕焼けに間に合ったねー。」
いつの間にか曇っていた空が晴れてきて、綺麗な夕焼けが見えます。
「綺麗だねー。」
こざる達も、嬉しそうです。

「どんな絵を描くんだろうね。」
「ねー。」
「今度、見せてもらおうよ。」

「りこちゃん、呼んでくるねー。」
こざるちゃんが、りこちゃんの部屋に向かいます。

「りこちゃーん、夕飯できたよー。
空豆のスープ、作ったよ。皆で、一緒に食べよう!」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり、
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。


この横尾忠則さんの言葉を聞くことができるスイッチインタビューは、
NHK Eテレで 再放送があります。
SWITCHインタビュー 達人達 アンコール「横尾忠則×瀬古利彦」
4月13日(土)22時〜23時
4月20日 (土)0時〜1時 

読んで下さって、どうもありがとうございます。
明日は、晴れるようですね。
よい毎日でありますように (^_^)

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