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ファインダーを覗いて じっと待つ

「本当に よく降ったねー。」
昨日は、一日、ずっと雨でした。
「今日の朝まで少し降っていたみたいだね。」
「昨日よりは気温が上がるみたいだけど、それでも ひんやりするね。」
昨日は4月の気温だったようです。

こざる達は、いつものように 賑やかにお喋りしながら、
朝ごはんの仕度をしています。

ラジオからは、朝のニュースが聴こえてきます。
富士フイルムが、黒白フィルムの販売を今年の秋に再開するそうです。

「へー、デジタルカメラじゃなくて、フィルムカメラ用のネガフィルムだね。」
「そうだね、需要が少なくなって、昨年の秋に販売終了したみたいだよ。」

今は、圧倒的にデジタルカメラの時代ですが、それでも、フィルムカメラを愛用する人たちが一定数います。

「デジタルカメラは、ぼく達、たいして見ないで、パパッと撮って、ダメだったら また撮って、失敗って思ったら削除するけど、フィルムカメラは全く違うよね。」
「自分で現像する人もいるけれど、ぼく達みたいに一般人は、写真屋さんに現像とプリントを依頼していたね。」
「そうだよ、撮って その場ですぐに 撮ったものを見られなかったよ!」
撮って、フィルムを使い切ったら、写真屋さんに持って行っていました。

「進化してきて、1時間くらいで出来上がるようになったけど、
昔は数日かかっていたよ。」
撮るのも、撮った写真を見るのも、時間がかかりました。
「出来上がるまで、長いこと待っていたね。」

「今は、すぐに何度でも撮れるけど、昔はフィルムが勿体ないから、
一枚一枚、時間かけて、丁寧に撮ったなぁ。」
「うん、失敗しないように、いい瞬間が来る迄 ずっと待っていたよね。」
とにかく時間がかかりました。

「でもね、こんな素人のぼく達でも、真剣に撮っていたから、
昔の方が、いい写真が撮れていた気がするなぁ。」
こざる達は、皆、うんうん頷きます。

「こういう画が撮れるなぁ、撮りたいなぁって、頭の中でイメージして、
その瞬間になるまで、ずーっとファインダー覗いて待っていたよね。」
「あの時間、いい時間だったなぁ。」
「それに、黒白って、何ともいえない いい雰囲気になるんだよ。」
「不思議だよね、黒と白だけなのにね。」
「後で、りこちゃんの部屋の昔の写真集、皆で見ようよ!」
「うん、そうしよう!」

朝ごはんの仕度が出来たようです。

「りこちゃん、呼んでくるねー。」
こざるちゃんが、りこちゃんの部屋へ向かいます。

「りこちゃーん、朝ごはん、出来たよ。
今日は、温泉玉子と、スモークハムと野菜のサンドイッチ作ったよ。
メロンもあるよ!
皆で 一緒に食べよう!」

こざるカフェは、今日も ゆっくり始まって
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
明日もまた 雨のようです。
よい毎日でありますように (^_^)

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