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お別れは、明るく楽しくにぎやかに

 暖かい日が続いて、こざるカフェの周りのソメイヨシノも
咲き始めましたが、今日は 曇りの寒い一日となりました。

 こざる達は、皆で おしゃべりしながら、夕飯の仕度をしています。
明日で半年間続いた朝ドラの『まんぷく』が最終回ですが、
昨日は、松坂慶子演じる お母さんの鈴さんが生前葬をやる場面でした。

「鈴さんは『人間、いつ死ぬかわからない。
ある時、ぽっくり逝ってしまったら、
みんなにありがとうって言えないやない。
生きているうちにお葬式をあげて、皆に感謝の気持ちを伝えたいのよ。』
って言ってたよね。」
「うん、病気をしてみてわかったって言ってたね。」
「ぼく達も、りこちゃんが、入院して手術して それでわかったよね。」

 それまでも こざる達は、りこちゃんも高齢だからと
頭ではわかっているつもりでした。
けれども実際に、入院、手術して、初めてちゃんと認識したのでした。

「ドラマだと、枕元に皆が集まって、一人一人に、ちゃんと挨拶して、
それで亡くなることが多いけど、実際は違うんだよね。」
ドラマのように亡くなる人は、稀でしょうね。

 人間、誰もが年をとって、体の自由がきかなくなってきたり、
あちこちガタがくるようになります。
そして、誰もがいずれは亡くなります。

「りこちゃんも、皆にお礼言いたいよね、きっと。」
「うん、言いたいよね。」
りこちゃんは、今すぐどうこうというわけではありませんが、
鈴さんのように元気いっぱい、一人で何でもできる
というわけではありません。

「きっとね、りこちゃん、心の中で、いつも 皆にお礼言ってると思うよ。」
こざる達は、うんうんと頷きます。
りこちゃんも、りこちゃんの友人達、兄弟たちも、
同年代の人々は、既に鬼籍に入っている人も います。
まだこちら側にいる人たちも、一人で自由に何でもできる人は、
そう多くはありません。

 こざる達は、りこちゃんが まだ簡単に外出できる時に、
あちこち出かけて、いろんな人に会って、本当によかったと思っています。
鈴さんが言っていたように、人間、いつ死ぬかわからないのです。

「りこちゃんの生前葬は、もう体力的に無理だけど、
いずれやることになるお葬式は、楽しく明るくやろうね。」
「うん。いいアイデアを思いついたら、記入してるよ。」

以前から、こざる達は、りこちゃんのお葬式には、
りこちゃんの好きな曲をたくさん流そうと決めています。
「全部、長調の明るい曲なんだよ。」
「来てくれる人には、喪服でなくて、りこちゃんに会いに来るつもりで、
好きな服を着て来てもらうんだ。」

こざる達は、今まで、何度か お葬式に参列しました。
当たり前なのですが、悲しく荘厳な音楽が流れている葬式が多くて、
「この暗くて辛くて重い曲は、りこちゃんには似合わないんじゃない?」
そう、こざる達は思って、りこちゃんの時は、
明るく楽しくやろうと決めたのです。

「お葬式だから、明るく楽しくは違うって思う人も多いと思うけどね。」
「明るい曲を聴きながら、ワンワン泣いちゃうかもしれないけど。」
「でも、やっぱりあの辛く重く苦しい曲は、違うと思うんだ。」
「りこちゃんと過ごした、楽しかったこと、嬉しかったこと、
悲しかったこともあるけど、全部ひっくるめて、
よかったねーって思うような雰囲気にしたいんだよね。」

こざる達は、しみじみといろんなことを思い出しています。

「みんな、りこちゃん、まだ生きてるよー。
元気だよー。生きる気満々だよ!」
こざるちゃんが言います。
皆、ニコニコ笑います。
夕飯の仕度が出来ました。

「りこちゃん、呼んでくるねー。」
こざるちゃんが、りこちゃんの部屋に向かいます。

「りこちゃーん、夕飯できたよー。
今夜は ちらし寿司、作ったよー。皆で、一緒に食べよう!」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり、
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
週末も寒いようですので、皆さま、お身体ご自愛ください。
よい毎日でありますように (^_^)

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