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カステラを食べると

「なんとなく、ちょっと秋っぽくない?」
「うーん、そうかなぁ。」
「空の青さとか、雲の様子とか。」
「そういえば、少し秋の空の気配を感じるかな?」

昨日は立秋でした。
暑い、暑いと毎日言いながらも、
季節は毎日少しずつ進んでいて、
確実に秋に向かっています。

こざる達は 今日も、いつものように 賑やかにお喋りしながら、
朝ごはんの仕度をしています。

「今日は長崎に原爆が投下された日だね。」
皆、うんうん頷きます。

「ぼく達、長崎に行ったことがないけれど、ずっと前に
りこちゃんが友達と旅行に行ったことがあって、
とってもよかったよーって写真や絵葉書を見せてくれて、それで印象に残っているんだ。」
「いろいろな文化が混ざり合った、とても魅力がある街で、
ちょっと異空間だよね。」
「あちこちに たくさん美しいところがあって、
眺めがいい場所もたくさんあって、行ってみたいねー。」

こざる達は、そんなにあちこちへ行ったことはありませんが、
本やテレビを見たり、行ったことがある人の話を聞いて、
そしてたくさん想像して行ったつもりになります。

「空想旅行だよ!」
皆、うんうん頷きます。

「りこちゃんが長崎から帰って来た時に、
いっぱいお土産があったんだけど、
カステラがあって、食べようよ!って、皆ですぐに食べたんだよね。」
「そうそう、お茶淹れて、皆で食べたカステラ、とびきり美味しかったね!」
皆、その時のことを思い出しています。

「カステラって、本当に美味しいよね。」
「甘くて、ふわふわで、いい匂いで。」
こざる達は、カステラが大好きです。

「カステラを食べながら、りこちゃんが原爆の話をしてくれたんだよね。」
こざる達は、静かに りこちゃんの話を聞いていました。

「だからカステラを食べると、こんなに美味しいものがある美しい町に、
多くの悲しみがあるんだと思うんだ。」

甘くて ふわふわして いい匂いのカステラ。
幸せのお菓子の代表のようなカステラからは、
全く想像がつかない、辛過ぎて恐ろしく悲しい歴史があります。

「とっても綺麗でかわいくて優しい幸せいっぱいのお嬢さんが、
いつも笑顔を絶やさないのに、実は深い悲しみを背負っている、
そんな感じだよ。」
「今日は、お昼前に黙祷だね。」
皆、うんうん頷きます。

朝ごはんの仕度が出来たようです。

「りこちゃん、呼んでくるねー。」
こざるちゃんが、りこちゃんの部屋へ向かいます。

「りこちゃーん、朝ごはんできたよ。
今日は玉子とハムと、シーチキンのサンドイッチ、作ったよ!
スイカもあるよ!
皆で一緒にたべよう!」

こざるカフェは、今日も ゆっくり始まって
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
今日のおやつは カステラでした。
よい毎日でありますように (^_^)

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