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梅雨空にマーマレード

こざるカフェのある地域では、
今朝は雨はあがっていましたが、霧で包まれていました。
その後は ずっと 曇りの梅雨の空です。

ラジオからは、あちこちで大雨の予報、
厳重警戒というニュースが ずっと流れています。

昼下がりのこざるカフェでは、
こざるちゃんが、マーマレードを鍋で煮詰めています。

「ぼく達、昨夜の『グレーテルのかまど』を見たんだけど、
ちょうどジャムをやっていたんだ。」
「それで、ぼく達、この番組で前にパディントンのマーマレードをやったよねって話していんだ。」
「ぼく達、パディントンの話が大好きだからね。」

こざる達は、マイケル・ボンドさんの『くまのパディントン』の話が大好きです。
「りこちゃんも、大好きだよ。」
皆、大好きです。

くまのパディントンは、ロンドンのパディントン駅で、
「どうぞこのくまのめんどうをみてやってください。
おたのみします。」と書かれた札を首から ぶら下げて
スーツケースの上に座っていました。

作者のマイケル・ボンドさんは、
第二次大戦中に、ロンドンから疎開してきた沢山の子供たちが、
名札を首からぶらさげて、スーツケースを持って駅で佇んでいるのを見ました。
その光景が忘れられなかったそうです。
実際にボンドさんのご両親は、二人のお子さんを引き取って面倒をみたそうです。

「ぼく達、番組を見るまで、ボンドさんのその子供の頃の体験のことを知らなかったんだ。」
「戦争の時、小さい女の子だったりこちゃんも両親から離れて学童疎開しているから、
その話を知って、胸が締めつけられるようで悲しくなったんだよ。」
「それで、また更にパディントンが愛しくなったんだよね。」
皆、うんうん頷きます。

「そしたら、ぼく達の声が聞こえたかのように、昨夜の番組のおしまいの方で、
パディントンのマーマレードもやったんだよ!」
「それで嬉しくなって、じゃあマーマレードを作ろうよ!って話したんだ。」


こざるちゃんが、ガスの火を消しました。
「できたよー。」
皆、覗き込みます。

「ちょっと味見してみようよ!」

鍋から小皿に ちょっとすくって、皆で味見します。

「うん!」
「とっても美味しいよ!」
こざる達は、皆、ニコニコ嬉しそうです。

「じゃあ、夕飯の後、食後のデザートで、ビスケットにちょっとのせて食べようか。」
「うん、そうしようよ。」
「明日の朝は、トーストに塗って食べようね。」
「うん。キツネ色に焼いたトーストにバターを塗って、
バターが溶けて じんわりとしみ込んで、マーマレードを塗って…..」
こざる達は、皆、マーマレード バタートーストを思い浮かべて うっとりします。

ラジオからは、懐かしさを感じるメロディが流れてきます。

「小さな肩に背負い込んだ 僕らの未来は
ちょうど今日の夕陽のように
揺れてたのかなぁ」

SMAPの『オレンジ』です。

こざる達は、マーマレードを瓶詰めにしようと
仕度をしながら 一緒に歌います。

「イタズラな天気雨が バスを追い越して
オレンジの粒が街に輝いている」

「ちょっと りこちゃんにマーマレード作ったよーって言ってくるね。」
こざるちゃんが歌いながら、りこちゃんの部屋へ向かいます。


こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
ずっと雨が続くようです。どうぞ くれぐれも気をつけてください。
よい毎日でありますように (^_^)

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