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雨に降られてヒレカツを買う

「あと少しで止みそうだね。」
「うん、もう向こうの空は明るくなってきているよ。」

二人のこざる達が、用事で出かけた隣の駅から戻ってきたところで
夕立にあいました。

「天気予報では、大気が不安定なので夕立があるかも?
って言ってたけれど、予報通りになったね。」

こざる達はホームから改札口へ向かう途中で、
駅構内のお店があるコーナーを通ります。

「あそこのお店で、りこちゃんと よくヒレカツ買って帰ったね。」
「うん、コロッケもよく買ったね。」

以前、りこちゃんと電車に乗って出かけた時、
帰りに、このお店に寄って、どれにしようか?と
ショーケースを眺めて、あれがいい これがいいと迷って、
そしてやっと決めて 買って帰りました。

「支払いをして、商品をもらって、りこちゃんは 必ずいつも
とっても嬉しそうにニコニコして、丁寧にお辞儀をしてたんだよね。」

その様子につられて、きちんと制服を着たお店の人も、
丁寧にお辞儀をしてくれました。

「お店の人も嬉しそうに、かぶっている帽子も ちゃんととって、
お辞儀してくれていたよね。」
「うん、そうだったよね。」

こざる達は、その様子を思い出しています。

「ちょっと寄って、ヒレカツ買って行こうか?」
「うん! そうしようよ!」

こざる達は、お店に寄って、
以前のようにショーケースを眺めて、どれにしようか迷い、
「やっぱりヒレカツにしよう!」
「せっかくだからコロッケも買おうよ。」

そして注文して支払いをし、商品を受けとって、
「ありがとうございます。」
そう言って、嬉しそうにお辞儀をしました。

お店の人も「ありがとうございます。」
と、嬉しそうに言ってお辞儀をしました。

「何だか嬉しいねー。」
「うん、帰ったら、皆で食べようよ!」
「りこちゃん、喜ぶよー。」

改札を出ると、雨は上がっていました。
どんどん青空が広がって来ています。

「あれ、虹が出てるよー。」
「あ、本当だ!」
「嬉しいねー。」

こざる達は、こざるカフェに向かって歩き出します。

「雨に降られたけど、懐かしい思い出があるヒレカツとコロッケ買えたし、
そしたら雨は上がって、虹も見えるし」
「テンポよく、何事もうまくいきそうな気がするよねー。」

単に雨に降られて、ヒレカツとコロッケを買っただけのことです。
そうしたら雨は止んで、虹が出ていただけのことです。

「こういう気分、こういう空気を嬉しいって感じる心が大切だよね。」
「うん、りこちゃんもよく言ってたね、
何でもいい方 いい方に考えた方が
楽しくていいし、知らず知らずのうちに 運を引き寄せるんだよってね。」
こざる達は、うんうん頷きます。

りこちゃんも こざる達も、いつも楽観的です。

「ただいまー。」
「おかえりー。」

ラジオからは、明るい歌声がテンポよく聴こえてきます。

「インテリジェンスをまとった中身の足りない言葉はいらない
皮を剥いだら味気なくて萎えてしまう」

スキマスイッチの『虹のレシピ』です。

こざる達も嬉しそうに一緒に歌います。

「響くよ 丸いレインボゥ 音速の彼方
この行間の想いをL-Rで感じさせて
鳴らすよ クリアなサウンド ジャンルを超えて
届けたいな 全部覚えてなくてもいいから
落とさずに持っていてよ」

「駅のお店で、ヒレカツとコロッケ買ってきたよー。」
「わぁ!」
「嬉しいねー。」
こざる達は、ワイワイ大喜びです。

「ちょっと りこちゃんに、ヒレカツとコロッケ、
駅のお店で買って来たよーって言ってくるね! 」

こざるちゃんが歌いながら、
りこちゃんの部屋へ向かいます。

「上げるよ さらにゲインを 無限の彼方
君の住んでいる街を瞬く間に包んで
伝えよう 高鳴る鼓動 空気を震わして
メロディが降り注ぐよ
確かに光り輝く、七色」

「りこちゃーん、駅のお店で、
ヒレカツとコロッケ、買ってきたよー!
後で皆で一緒に食べよう!」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
大型台風が心配です。
よい毎日でありますように (^_^)



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