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自分という自然に出会うー23歳、鴨川で泣いた日。|ウタトコト③

「ウタトコト」とは?=歌×言
歌と文章を組み合わせて、1つの作品のように発表しています。

このページの最後には、”今日の歌”の動画があります。まず聞いてみたい!という方は遠慮なく文章を飛ばして、音楽を聴いてみてください!

こんにちは!
シンガーソングライターの嘉村こずえです。
前回からちょっと時間が空きましたが、歌とエッセイで思いを綴るウタトコトの自主連載、「自分と世界を抱きしめる」の第3回です!

前回の投稿、ウタトコト「自分と世界を抱きしめる」②”ありのまま”って、こんなにも難しい。では、自分の子どもの頃~学生時代の葛藤や模索を振り返りながら、今感じる気づきを綴ってみました。

今回は、その後、私が歌を歌い始めるようになるまでのストーリーや、それを機に起こった変化など書いていきたいと思います。
どうぞお付き合いください!

ぺらっぺらの就職活動

前回の投稿で、大学時代に就職活動が始まった時、体が全然動かなかったと書きました。
表面的には「よし、頑張って自分がやりがいを持って働けそうな会社の内定とろう!」と思っているのですが、「自分が深い部分で何を望んでいるのか」ということに何年も向き合ってこなかった私は、社会の中で働く具体的な自分の働く姿も全然描けませんでした。
一応、付け焼刃的に対策を練ってエントリーシートを出したり面接を受けに行くも、結果はボロボロ。それでも無理やり自分を奮い立たせて頑張らなきゃいけないこの状況に、どんどん消耗していきました。
ろくに面接にもいかず悶々としながら時間が過ぎる中、自分の甘さを痛感して相当落ち込みもしましたが、ふと疑問を感じました。「自分の大事な未来を決めることに、そもそもなんでこんなにエネルギーが沸かないんだろう?」

正直な一歩

私はその時、実は気になっていたNPOの活動がありました。イギリスのバンドU2のプロデューサーが始めた、音楽と起業を掛け合わせた教育プログラムを若者に提供する、ブラストビートというNPOです。実は音楽に救われた過去があって、音楽の力で何か世の中が良くなる活動がしたいと思っていたのです。(どんな音楽に救われたかという話は、また別の回に。)

ただ、当時東京でその活動が始まったばかりの頃で、そこに就職するとか、その活動で生計を立てられる状態ではなかったので、自分の将来の選択肢としては非現実的と思っていました。でも、不毛な就活の末に、「今やりたいと思っていることがあるなら、とにかくやってみたらよくない?」と、思いました。

私は就活をやめ、ブラストビートの東京の集まりに飛び込んでみました。すると衝撃を受けました。NPOといっても、私が前回書いた「自分が楽しむことより誰かの為に尽くす」みたいな奉仕的な人というより、「面白いことやろうぜ」というノリ全開の、多種多様でファンキーな方々が、とっても楽しそうに新しい活動を企てていました。
そこで会った大人たちがすごくパワフルに輝いて見えて、好きなこと、心からやりたいと思うことへのエネルギーってこんなにすごいんだと思いました。

「あ、私、歌いたかったんだ。」

私は思い切ってブラストビートの京都支部を立ち上げたい、と声を上げました。自分の大学に東京の代表を招き、講演会を開いてメンバーを募るところから始めました。その活動をしたからといって、将来の何に繋がるかわかりませんでしたが、NPOや地域貢献などの分野での起業・事業化を学ぶ大学院に進学を決め、活動をスタートさせました。

それからは、本当に大変な思いもたくさんしました。最初のメンバー集めの講演会なんて、参加者を集められるか不安で前日まで毎日泣いていました(笑)ですが、動けば動くほど、沢山の「自分の心に従って現実を生きようとする人」に出会い、沢山のサポートを受けました。出会う人達のユニークな生き方触れていると、いかに自分が狭くステレオタイプな価値観で生きていたかを感じ、段々とそれがほぐれていきました。

私は、将来何を手に入れることができるかではなく、今を正直に生きるその過程にこそ沢山の宝物がある、と感じるようになりました。そして、そうして「今」に集中していく中で、ある時、自分が本当にやっていきたいと思えることに出会いました。
ブラストビートの活動で、京都のお寺でチャリティーライブを開催したときです。今でも心に残る素敵なライブになったのですが、私は舞台袖から出演アーティストがとても心に響く歌を歌い上げる姿を見ながら、「あ、これだったんだ。私は歌いたかったんだ。」と、急に全身で腑に落ちたのです。自分が音楽をプロデュースする側でなく、表現する側だったことに。

私はその後、NPOの活動はメンバーに引き継ぎ、独学で作曲を学んで、シンガーソングライターとして活動を始めました。

自分という自然に出会う

「私はこれをやっていきたいんだ」と分かった時というのは、雷に打たれたような、大きな衝撃を受けた感じでした。自分のこれまでの人生が、良いことも悪いこともすべて、そのためにあったと思えるような感覚でした。

そして何より、自分自身に驚くべき変化がありました。感覚が開いた、といえばいいでしょうか。私は子どもの頃、宇宙が好きだったといいましたが、知らないうちに、自分の意識が周りの狭い世界にだけに閉ざされて、空も見ないような人になっていたのです。
でも、自分と深くつながった瞬間、子どもの頃のように、世界と繋がっていた感覚も一緒に戻ってきたのです。

私の大学院の恩師であり、音楽仲間でもある中野民夫さんの言葉で「自分という自然に出会う」というのがあります。忙しく過ごしていると忘れがちだけど、私たち人間も、本来自然の一部で、自然界の中の循環で生かされているということ。だから、外と内の自然を体感することが大切だということ。

本当に、これだと思いました。就職に取り組んでいた時、私はほとんど、頭だけで物事を考えていました。だけど、私たちには、心も体もあります。そんなシステマティックに考えた通りには、人も未来も動きませんよね。

自分の内なる心や深い部分と繋がって生きるということは、他の誰とも違う、自分だけが持っているリズムに気づくということ。感情も心も、人の運命も、理屈ではない、有機的な自然のリズムの中で動いていると知ること。
それを受け入れて生きることは、変化を受け入れることで、将来設計もあったもんじゃないし、すこし怖い気がします。だけど、自分の心に耳を傾けて行動するからこそ、人がそれぞれに持っている、内なるエネルギーを輝かせることができると思うんです。

自分が歌を歌い始めた年の春に、忘れられない日があります。
なんてこともない普通の日だったのですが、温かい春の、鴨川沿いで座っていたら、全身が満たされるような喜びが湧き上がってきて、じんわりと泣けてきました。
川や緑や空が本当に美しくて、空気が優しくて、この世界で自分の生きたい姿が見つけられたことに感謝でいっぱいになりました。何か自分を超えた大きな世界と繋がれたような、敬虔な気持ちになったのを覚えています。

◆今日の歌 「桜の声」

今日の歌は、そんな春の空気と、大きな世界とのつながりを歌った曲です。
桜がテーマの歌なので、4月中に出せればいいかなぁと思ってましたが、GWも明けてしまいました(笑)
もう新緑の季節ですが、今年の春や、桜を思い出しながら聞いてもらえたらと思います。
今回は、2年前にアップ済の動画なので(当時のSolfeという活動名になってます)、ちょっと特別編になりますが、素敵なクリエイターさんにアニメーションをつけていただきましたので、そちらもぜひお楽しみください!

「桜の声」 詩・曲 嘉村こずえ

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最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!
次回は、またガラッと雰囲気の違った歌になると思います。
ぜひお楽しみに~!

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