ネクタイの効用に気付く年頃
かつて、小田嶋隆は、ネクタイというのは「こみあげてくるゲロをせき止めるためにあるんだぜ」と、その効用を説いた。会社員生活のやるせなさを表現した言葉だ。早々とネクタイ生活からドロップアウトした私も、そうなんだろうなと思っていた。
若いころは。
しかし、50歳を超えると、ネクタイのもう一つの効用に気付く。
ネクタイはシャツの襟を持ちあげ、喉元に結び目を作ることで、首筋を隠す。
そして、50歳を過ぎると、首筋には老いが現れてくる。
首筋のたるみや皺を隠すことで、老化の兆候を覆い隠し、エネルギッシュな印象の持続が可能になる。
しかし、首筋を隠しているのが年寄りばかりだと、そこに老いの印があるのが喝破されてしまう。喉仏を隠す二丁目の人と同じだ。
そこで、年寄りは若者にもネクタイを着用させることにした。木を隠すのなら森に。
だから、実は最近のクールビズは、お歳を召した男性にはちょっとやばいんじゃないかと思っている。
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