マイ・ベスト・ポテサラ

ポテトサラダといえば、肉料理の付け合わせと考えている人も多いだろうが、安酒飲みにとってはツマミの基本形でもある。新しい店に入った時には、ポテサラを注文して、店のレベルを知ろうと試みる飲ん兵衛も少なくない。

ビールやホッピー、ウーロンハイと一緒につまむポテサラは炭水化物ではあるが居酒屋のメニューにあってはなかなかヘルシーだし、その後テーブル(やカウンター)に届くであろう焼きもの、揚げもの、生ものなどを胃が受け入れるためのウォーミングアップのツールでもある。

私も数え切れない店でポテサラを食べてきたが、そのなかでベストを考える時、2つの店の名前が思い浮かぶ。

ひとつは浅草橋のカミヤ。現在改装工事中で6月に再オープンするらしい串焼き屋だ。本店は上野でのれん分けだと思うが、もっぱら浅草橋を利用してきた。ここのポテサラの特徴は、味付けが2種類あって、注文時にどっちにするか訊かれる点だろう。ノーマルな塩とマヨネーズ味のほかに、カレー味があるのだ。私はいつもカレー味を頼む。

カミヤは生ホッピーの白と黒のサーバーを置いていて、生ホッピーのハーフ&ハーフが飲めるのだが、こいつをやりながらカレー味のポテサラを突くのは夜の早い時間の無上の楽しみだ。レバーの半殺しという表面を炙った一品料理や、長芋のぬか漬けなどもおいしい。串焼きは3本一皿だが、小ぶりなので、けっこういろいろ食べられる。ひなねぎがうまい。

もう一店は神保町のすずらん通り裏のやきとり屋。やきとり屋という店名の焼鳥屋だ。こちらのポテサラはゆで卵が刻んで入っている。マヨネーズの原料は卵だからあわないわけがない。半熟と固ゆでの間のほっこりとしたゆで加減の卵がかなり入っていて、食べるととても幸せになる。こちらの店は鳥の内臓がいろいろ楽しめるのも特徴で、背肝やかん(はつもと)など希少部位を絶妙の焼き加減でいただける。

こうした店の記憶と密接に結びつくポテサラに、もっと出会いたいものだと思っているので、新規の店ではやはりポテサラを注文してしまう。

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