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『Grief 2 (lyric)』

自分のしたことを後悔したことは、これまでなかったし、精一杯やっているから、という理由で後ろを振り返ることもあまりなかった。失敗から学んで次々にやり方を変えるのも好きだった。私には、びっくりするほど我慢強いところと、全く我慢が効かないところが両方あり、今、後者のことで後悔をしている。

ちょっと我慢すればふんだんに与えられる、ということがない人生だった。だから、我慢が報われることを知らなかった。自分で自分を鼓舞して努力するような我慢でない、自分の急いた気持ちに対する我慢。それを我慢したら次はなかった。そのこと自体を悲しく思う。深い悲しみを味わう。それへのGrief。

4日か長くても6日待てば良かった。そうしていたら5シーズンは続いた。5シーズンが秒換算な訳はないに秒換算される気持ちだった。なので焦った。それくらい愛に飢えている。48年間分の渇望。そのとてもつない一人でしていた報われない我慢へのGrief。自分で自分のインナーチャイルドを抱きしめる。

タイミングも悪かった。滞在資格が切れそうで、キャンセルも始まっていて、自分でも、どうして良いか分からず、希望を失いそうな時だった。だから、愛されること、ケアされることに、縋ろうとした。そう思う。そうして、縋ろうとせざるを得なかった、そういう自分の状況への、その状況を招いた自分の過去の経験への、Grief。

そうして、Greifの中で、それを味わい、底知れない悲しい気持ちで身体がいっぱいになりながらも、その状況を招いた原因を作った両親や、母や、周りの大人たちを責めたり、怒ったりすることが、まだ全くできないこと、それ自体へのGrief。

相手が日本のルーツも持っていることで、期待が膨らんだ。親と同じ思いを私がしたなら、理解も容易なのではないかと。そうして、逃げる人が後を絶たない、自分の帰れない国や故郷の悲惨さへのGrief。逃げてきた此処でも、差別に遭い、搾取され、それが今でも続く、日系人の身の上へのGrief。それをまた背負わされる、此処にいる私たちへのGrief。



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