かずぽそダイアリー

初期研修医1年生。好きな人、大切な人を幸せにしたいと思い医者になりました。ただ、実習を…

かずぽそダイアリー

初期研修医1年生。好きな人、大切な人を幸せにしたいと思い医者になりました。ただ、実習を重ねるうちに現在の医療に疑問を抱かずにはいられず。そんな一医者の、思い出話や少しは皆にとって足しになるかもしれない話。

最近の記事

その9 僕は多分、この日を一生忘れない

後期試験1日目夜、おそらくなんとかなっただろうという感触だった。 2日目は面接だけなんで比較的余裕はある。うちの大学は医師を志した理由とかそんなことは聞かれず、医療倫理について問う面接だった。 ちなみに僕の時は ・腎臓片っぽ売ってお金儲けるのどうよ ・超高齢化社会どうよ ・忘れた とかだった気がする。現役は一律に点数が与えられ、やばいやつだけ落とすシステムだと聞いた。 本当にやることがなくなった。のんびり過ごしていた。 さやに会いたい。 僕は連絡した。 明日、

    • その8 本当の勝負

      医学部にいくか東大にいくか、最後まで迷っていたこともあって私立医学部は何個か願書は出していた(順天堂、慈恵、慶應)。 ただ、理3を受けると決めてから東大対策の時間が惜しくなり、ほぼ対策はしなかった。順天堂はセンター利用だったのでなんとかなったが、慈恵は落ちて慶應に至っては受験すらしなかった。 東大本番。 1日目。 玉砕。 落ちを確信した。 2日目。特にいうことはない。爪跡も残せなかった。

      • その7 前期試験

        年が明け、来たるセンター試験に向け着々と準備を進めた。 僕は日本史を選択していた。今思えばやっぱり量は多かったと思う。ただ、社会の中で唯一日本史は抵抗がなく、「勉強楽しい」と思える数少ない科目だった。 とにかく85点の壁が厚く、S台主催のセンター模試の過去問をやっても90点超えることは殆どなかった。センター試験の過去問も同様。 それゆえ、年明けてからは日本史漬けになった。古典なんてほぼしらねーよ状態。英語は発音記号アクセントをちょろっとやる程度。物理化学は教科書を

        • その6 冬の訪れ

          夏の模試でE判定を食らってからは会う頻度を極端に下げ、勉強するようになった。 特に理科をしっかりやり、わりと得意の数学は落ちない程度に、苦手な英語は音読をひたすらするようになった。 英語の音読とか正直意味あったのかわからないけど、理科はやればやるほど伸びるのを感じた。ちなみに理科は本番は壊滅してる。 というわけで、11月。S社の東大模試でA判定をもらった。よっしゃ。とはいえすれすれのA判定。K社の東大openはD判定。全く油断できない。 とはいえ、夏の模試か

        その9 僕は多分、この日を一生忘れない

          その5 代償はあまりにも大きい

          夏。受験の天王山。 僕は全く勉強に集中できなかった。 主な理由は3つ。 1つ目はさやの存在。流れ的にそりゃそうなのだが。夏期講習でもさやと同じになった。なんたる運の良さ。講習の先生は普段の授業でもお世話になっている先生でとてもわかりやすかった。ついでにいうと女子人気がまぁまぁあった。 その先生は(特にクラスの生徒を引き合いに出して)例えるのが結構好きで、僕は結構そのネタにされた。悪い気はしない。 そして夏期講習でもネタにされた。「えっwww」

          その5 代償はあまりにも大きい

          その4 それでも諦めたくなくて

          5月中旬。体育祭に負けて、責任をとって頭を丸めた。人生初の坊主。坊主にした翌朝、髪の毛の伸びを手のひらで実感した。生命を感じる。 僕はさやを諦められなかった。 でも玉砕は見えていた。知り合って間もないし、いきなり声をかけてあとはメールでしか殆どやりとりしてないし、告白はデートの3回目とかいう次元の話じゃないし。返信もたまにこない時がある。メールはいつも僕からだ。まぁでもしょうがない。 告白だ。 〜〜塾から帰宅後〜〜 今日ちょっと話があるんだけどいい

          その4 それでも諦めたくなくて

          その3 扉の向こう側の奇跡

          話は少し戻って高3の4月 新年度になり、通っていた塾のクラスも新しくなった。僕は英語数学物理化学を習っていた。 物理のクラス。初回。扉を開けたら同じ高校のやつがたくさんいた。他校の知り合いも数人いた。これはうるさくなりそうだ。 そう思っていた時。 ガチャッ。 えっ。 さやが入ってきた。そして座った。 おいおいまじかよ。 仕組んでない。本当に偶然、同じクラスになってしまった。 頭が真っ白になった。それ

          その3 扉の向こう側の奇跡

          その2 告白のシナリオを奪う、一通の悪魔

          高3の春。我が母校で一世一代の大イベント、体育祭が迫っていた。 さやを呼ぼう。 例外は勿論いるが、僕の母校の生徒は大方、体育祭をこよなく愛している。僕もその一人。さやにも体育祭の話は当然していた。僕の母校出身の男どもが振られる理由は体育祭の話しかしないからという都市伝説もある。とにかく熱い。リアルに1年間かけて準備する。体育祭が終わったら晴れて受験生となるのだ。 優勝して、さやに告白をしよう。 そう目論んでいた。 そんな中の

          その2 告白のシナリオを奪う、一通の悪魔

          その1 それは突然、一目で始まった恋

          あまりにも毎日が平凡だった。朝から病院行って合間にゲームしてタスクをこなして夜前に家に帰る。たまに部活に行って筋トレもして、プロテインを飲んで。 僕は自分の人生の意味を見失っていた。 僕は医療を勉強すればするほど疑問を抱かずにはいられなかった。本当に長生きすることが美なのか。医療費の圧迫でしわ寄せを受ける若者。無償の残業。命を扱うというのに安い稼ぎ。喫煙歴何十年の生活保護受給肺がん患者を無償で救う価値はあるのか。 僕は高尚な人間じゃない。死にたい奴がいれば死ねばいいとも思っ

          その1 それは突然、一目で始まった恋