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あの頃に帰りたくなる赤とんぼ

赤とんぼというと、小学生の頃の通学路、途中の川にかかる橋から眺めた、茜色の空に飛ぶとんぼの群れを思い出します。おそらく車通りが少なくて、そのために学校から指定されていた帰り道が、なぜかずっと好きでした。

学校の正門前の陸橋を渡って、細い路地に入る。川沿いに少し古い家が並んでいて、庭に大きな椿の木がある家や、寒い春に毎年梅が花を咲かせる家があり、そしてぐっと右に折れる曲がり角には、小さな祠があってお地蔵様が祀ってありました。(かわうえどうのじぞうそん、ゆききのひとをまもりたもうで)お地蔵様に近づいていくと、ちょうど正面に掲げられていた小さな看板の文言を、心の中で唱えていました。さらに進むと、左手に小さな沢のようなところがあり、春にはへびいちごが、夏には水色のツユクサがたくさんの花をつけていました。そして、その沢を過ぎると、ぱっとあたりが開けて川となり、大きな橋がかかっていたのです。

下校時刻は夕暮れ時。秋になると真っ赤な空に、それこそ空を埋め尽くすように赤とんぼが群れ飛んでいて、子供心になんだか切ないなぁ、と感じたものです。

この通学路、夢にもよく出てきました。行きの時もあれば、帰りの時もありました。なので、帰省するたびに、愛着のあったこの通学路をわざわざ散歩したりしています。


#俳句 #エッセイ #暮らし #写真 #通学路 #赤とんぼ #秋

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