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【Every Picture Tells a Story】(1971) Rod Stewart トラディショナルな薫り色濃いロッド初期の名作

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。 今年の一発目はロッド・スチュワートです。

長いキャリアを誇りながらも、華やかなスターのイメージが今だ残るロッド・スチュワート。ブリティッシュ・ロッカーきってのあのしわがれ声はいつ聴いても魅了されますね。

70年代後半からは派手なポップシンガーとなっていきましたが、私はそんな彼も嫌いではなく、実のところ皆が訝しがる「アイム・セクシー」も大好きなんです💦

とはいえ彼のソロキャリアを辿っていけば、やはり70年代初頭の作品には英国人としてのルーツも感じさせる深い味わいがあります。

この時期のロッドはフェイセズとの二足の草鞋。ソロ作品にもメンバーが参加していますが、ブルース、フォーク、ロックンロール等が渾然一体となりながらもどこか朴訥とした佇まいが魅力ですね。

〜英米盤アナログレコード〜

本作は英米でジャケット仕様に違いがあるのです。

(英国盤ジャケット)

こちら英国盤のジャケットはシングルスリーブ。表はノスタルジックなイラスト、裏は歌唱中のロッドのアップ写真。
これが普通だと思っていたのですが、実はこれは英国だけの仕様なんです。

(米国盤ジャケット)

米国盤も表ジャケは同じなのですが、三つ折りの見開き仕様になっており、広げてみると…

こんな感じでロッドの大判ポスターとなっているという仕掛けなのです。豪華ですね!私のはポスター部が切り離されてましたが…。

ジャケットを裏返すと

参加メンバーの写真、クレジット、各曲をモチーフにした古いタッチのイラスト画が施されています。
英国盤より丁寧な作りで好感をもちますね。ちなみに日本の初回盤も見開きでした。


(英国盤レーベル)

(米国盤レーベル)

本国英国でのロッドの最初の2枚は、渦巻きマークで知られるヴァーティゴ・レーベルからでしたが、3枚目の本作より米国と同じくマーキュリー・レーベルの発売です。
私のはマトリックス3/3。オリジナル盤は黒色レーベルらしく、この紺色は若干後かと思われます。

音質は明らかに英国盤の方が濃密な音です。細かい音も良く聴こえます。米国盤も悪くはないのですが、比べてしまうと何か音が足りない?ような感じがしてしまい、全体的にも平たい音の感触です。アナログなら再発でも状態のいい英国盤が狙い目です。

Side-A
①"Every Picture Tells a Story" (Rod Stewart, Ronnie Wood) - 6:01
②"Seems Like a Long Time" (Theodore Anderson) - 4:02
③"That's All Right / Amazing Grace" (Arthur Crudup / traditional; arranged by Stewart) -   6:02
④"Tomorrow Is a Long Time" (Bob Dylan) -
3:43

Side-B
0. "Henry" (Martin Quittenton) - 0:32
①"Maggie May" (Stewart, Quittenton) - 5:15
②"Mandolin Wind" (Stewart) - 5:33
③"(I Know) I'm Losing You" (Norman Whitfie-ld, Eddie Holland, Cornelius Grant) - 5:23
④"(Find a) Reason to Believe" (Tim Hardin) - 4:05

A-①"Every Picture Tells a Story"

アコースティックギターの繊細で奥ゆかしい響き。ロッドのハスキーボイスと相俟って英国の薫りが目一杯広がるR&Rナンバー。イイですね〜。

繰り返しの歌メロですが、ロッドのボーカリストとしての力量で退屈させません。
ロン・ウッドと分かるリードギターも登場。
中盤以降デュエットで入ってくる女性歌手はマギー・ベルなんですね。この方、英国のジャニス・ジョプリンとも称され後にソロ作品も残しています。この2人の掛け合いが熱くなっていく曲展開がタマリませんね〜。


A-②"Seems Like a Long Time" 

私個人イチ推し。胸に染みるミディアムバラードです。米国カントリー系SSWの作品とのこと。
何とも印象に残るのが全編で美しいピアノ。クレジットによれば弾いてるのはイアン・マクレガンではなくピート・シアーズという人物。この方、後のジェファーソン・スターシップ〜スターシップのメンバーでビックリ!本作では彼のピアノ演奏がかなり深い味わいをもたらせています。
後半は女性コーラスも入ってゴスペル調な雰囲気に。ロッドが歌うミディアムバラードは絶品ですね!


B-①"Maggie May"

アナログ盤では0曲目の表示となるギターの調べ "Henry" に続いて登場するのがロッド初期の代表曲、英米No.1ヒット!!
作者のMartin Quittentonのアコースティックギターからスネア2発、ロッドの♪Wake up Maggie I 〜という歌い出し、最高ですよね。ロッドがこの時代に纏っていたトラディショナルな風情が心地良い名曲です。バックのイアン・マクレガンのオルガンも良いアクセント。終盤に入ってくるマンドリンがやはり妙味ですね〜。


B-②"Mandolin Wind"

こちらも名曲。英国の冬の田園風景が目に浮かぶようなフォーキーなミディアムバラード。トラディショナルな薫り満載のロッドの自作。泣けます。スティールギターはロン・ウッドでしょうか。美しい音色ですね〜。

1993年発表【アンプラグド】でも取り上げて2人揃ってこれまた素晴らしい演奏でした。
寒い冬だって君の心を変えられなかった、僕は君を愛してる、とド直球な愛の歌詞にも感動します。


B-③"(I Know) I'm Losing You" 

本作唯一のハードな楽曲はテンプテーションズのカバー。これは完全なるフェイセズの演奏ですね。モータウンナンバーをハードロッキンに仕上げています。ドタバタしたリズムも含めてこの熱気!ライブバンドの魅力が爆発してます〜。
こちらライブ映像。ケニー・ジョーンズのドラムソロも交えた白熱の演奏です。観客の歓声もスゴいなぁ。


B-④"(Find a) Reason to Believe"

締めは米国SSWティム・ハーディンのカバー。この曲が元々シングルA面で"Maggie May"はB面だったのは良く知られた話です。
ロッドの歌唱が英国らしさを注入します。
バックにウッドベースの音が聴こえますが、本作クレジットに名前のあるダニー・トンプソンのプレイだと思われます。彼は当時、英国トラッド&ジャズをブレンドした画期的バンド、ペンタングルのベーシスト。本作はなかなかゲストも多彩ですね。


カバー曲も多い本作ですが、他にもプレスリーのデビュー曲と賛美歌を繋げたA-③、ディランのA-④など全て米国の曲というのが興味深いです。
一方のオリジナル曲はフォーキーで英国人らしさが濃厚。どちらにせよ本作は非常にトラディショナルでアーシーな感触に溢れています。この田舎臭いところがイイですよね〜。

まるで燻したような木の薫りがプンプンと漂ってくるような渋い魅力。やっぱりロッド・スチュワートの名盤ですね。

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