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【Poco】(1970) 初期ポコの幅広さを示した充実作

今年もGWの連休に入りましたね。
生まれた時から実家が飲食店で、その後もほぼ飲食で働いてきた私にとって、この時期はただただ仕事が忙しいだけ!ハッキリ言ってGWは嫌いなのです…(笑)

陽気はイマイチですが、暖かくなったのでカントリーロックが似合う季節になりました。今回は私の好きなポコです。

2ndアルバム【Poco】

バッファロー・スプリングフィールドのリッチー・フューレイとジム・メッシーナが、 "Kind Woman"というカントリーバラードを録音の際に、スティール・ギター奏者のラスティ・ヤングを呼び寄せたことがポコ誕生のきっかけとなりました。

1969年にレコードデビュー。1stアルバム発表前にベーシストのランディ・マイズナーが脱退してしまうので、本作2ndアルバムが実質最初期のラインナップになります。

リッチー・フューレイ (Gt, Vo)
ジム・メッシーナ (Gt, Vo)
ラスティ・ヤング (Steel guitar, Dobro )
ティモシー・シュミット (B, Vo)
ジョージ・グランサム (Dr, Vo)

ポコの最大の魅力は何と言ってもポップなカントリーロックです!清涼感あふれるコーラスワークと溌剌としたサウンドはいつ聴いても心地良いものです。

 デビュー曲"Pickin' Up the Pieces" を含む1stアルバムで快活なカントリーロックバンドとして登場した彼等ですが、この2ndアルバムも素晴らしい内容。私はこっちの方が好きです。
カントリーロックを軸にしながら、もう少し幅広いアプローチも見せ始め、リッチー・フューレイの楽曲も一層深みを増しています。地味な作品ですが、もっと評価されてもいいのなぁと思う1枚なんですよね〜。

演奏面では、この頃はジム・メッシーナのギターですね。テレキャスターで弾くパキパキと歯切れのいいリードが、所謂カントリー度合いをUPさせています。しかし対するラスティ・ヤングのスティール・ギターもなかなかユニークな音なのです。

正攻法なプレイはもとより、時折聴こえてくる謎のハモンドオルガンのような音??……実はスティール・ギターをレズリースピーカーに繋いで鳴らしてるそうなんです。鍵盤奏者のいないポコにとっては効果的なアレンジ。ラスティの名アイデアが若干サイケな色合いも醸し出して、本作でも絶妙なアクセントとなっています。

 

(アナログレコード探訪)

我が家のポコ

本作のアナログ盤、持ってることを忘れて同じ米国盤を2度買ってしまいました💦 愚かなコレクターのあるあるです…。
ポコの中古レコードはどれも比較的安価です。貴重な初期でも1000円台でしょう。

米国エピック・レコードの初期盤
黄色レーベルはエピックが1965〜72年までの
プレスに使ったデザインです。

本作、なかなか音が良いのです。1stと比べると明らかに音質が向上。同時代の作品と並んでもかなりシッカリした音です。広がりがあってクッキリ♪ 録音環境が良かったのでしょう。多少お金もかけたのかもしれません。

2枚の米国盤のマトリックスは「1B」「1C」。
気合いと集中で10回ほど聴き比べましたが……良く分からず(笑) 同じような音でした💦 


〜曲紹介〜

Side-A
① "Hurry Up" 4:06
リッチー作。1stにはなかった堂々とスケールある曲調とアレンジです。ドラミングもダイナミック。リッチーの歌にも力が入ります。
ギターソロをラスティ→ジム→リッチーと3人で回す演出もなかなか。途中でリズムパターンが変わるなど、バンドの成長を感じさせる1曲目です。


② "You Better Think Twice" 3:21
ジム作。ポコ時代の代表曲です。
ポコらしい気持ち良いアップテンポなナンバー。お得意のコーラスワークもティモシー・シュミットのハイトーンが加わってバッチリ!西海岸らしくて楽しい!!

③ "Honky Tonk Downstairs" 2:43

④ "Keep on Believin'" 2:51
リッチー、ティモシーの共作。
突然リッチーの発狂のようなシャウトにビックリ。弾けてますが、曲はカントリーロックを基調としたR&Rです。ジムのパキパキギターも元気に鳴ってます。


⑤ "Anyway Bye Bye" 7:01
これは力作ですね。リッチーがブルースのフィーリングも注入した名バラード。渋めのメロディと演奏ですが、陽性な声色とコーラスワークでカラッと仕上がってます。
ラスティがスティールGで奏でるハモンドの音色もムード満点!クールな熱演です。
曲の良さからか、脱退したランディ・マイズナーがソロでカバーしています。


Side-B
① "Don't Let It Pass By" 2:33
本作のリッチーは冴えてます。こちらも趣のあるバラード。陽炎のような淡い音色がバッファロー・スプリングフィールドを彷彿とさせます。ドロ臭くなる前の初期ポコの魅力。

② "Nobody's Fool/El Tonto de Nadie, Regresa"  18:25

割愛しましたが、ラスト曲はリッチーの歌と長〜いジャムセッションが続く18分のメドレー。ニューロックを意識したような冒険作です。

カントリーロックに留まらないポコの進歩的な姿勢が伝わってくる本作。リッチーとジムがバッファロー・スプリングフィールドで培った実験精神を発揮したような好盤と言えそうです。
リッチーの頭の中にはスティーヴンやニールの活躍があったのかもしれませんね。


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