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南相馬市小高区の地元高校生とタピオカミルクティーをつくって販売した話

 販売開始から数日が経過しましたが、販売前にはみられなかった客層のお客様が来てくれたり、売り上げが1.5-2倍になったり・・・ついにはオープン日以来の日商を超えてしまいました。恐るべし、タピオカ効果。  

 このnoteでは、なぜ、どのように高校生とタピオカを開発したのかということやその過程、広報などについてまとめていきます。

カフェオムスビについて

 オムスビは、福島県南相馬市小高区にあるコーヒースタンドです。現在は人口約3000人、電車は一時間に一本、人通りは決して多くない地域にあります。そんな場所で、移住してきたヨソもの(オムスビスタッフ)が昨年、店舗をオープンして始めました。

 くつろぐための喫茶ではなく、何かやりたいと思っている人や想い、まちにある困りごとなどの情報、そこから始まるまちづくりにつながる出会いなど・・・人とコトをつなぐ機能のある場を目指しています。(端的に言語化するのは難しい・・・)

 オムスビは、高校生をまちづくりに巻き込みたいと考えていました。

(一般社団法人オムスビホームページより抜粋) 私達が中心的に活動している地域は、南相馬市小高区という地域は、震災直後福島第一原子力発電の放射能被害を考慮し、警戒区域とされた区域でもあります。2016年7月に大部分の避難指示が解除され、居住が可能となりましたが、帰還率は20%超、人口は約3,000名にとどまっている状況です。 一方で、この地域には小高産業技術高等学校という高校があり、約500名の高校生が通学しています。未来ある若者にこの地域の課題に取り組むことを通じて成長する機会を提供できるのではないかと考えています。 まちづくりに取り組み、それを通じて課題の解決を学び、成長していく。また、その中の一部がこのまちに興味と愛着を持ってくれる若者が定着すれば、地域の課題も解決していくのではないかと思っています。

 しかし、1杯500円のスペシャルティコーヒーは、高校生のほしいものでもないし、どんな人がいるかもよくわからない場所だから、入店するハードルは高く、興味の対象外でした。地元の高校生と一緒に活動をしていきたい、と試行錯誤する日々。

きっかけはインターンシップに来てくれた学生の意見

 昨年冬に、地元高校生をインターンとして3日間受け入れた時のこと。インターンに来た学生に「高校生にオムスビを使い倒してもらうには?」「高校生にとって、まちにあったらいいと思うものは?」という課題を与えたところ、でてきた答えは「タピオカあったら嬉しいかも」でした。実現するためには・・・とワークしたりもしました。

 インターンの期間内には商品化が難しかったですが、貴重すぎるリアル高校生の意見を実際に形にしようと心に決めました。授業は終わっても、オムスビはタピオカドリンクの開発をすすめます。

高校生とつくる、高校生とチームになる

 インターンに来てくれた学生は2人でしたが、最終的には高校生6人+スタッフ2人の8人のチームで開発をしました。インターンに来ていた学生がクラスメイトを誘って、巻き込んでくれました。かかった時間は約半年。高校生は忙しいです。美味しいタピオカにもそんな簡単にはたどり着けない。

 高校生との関係性は「高校生が買いたくなるタピオカミルクティーをつくるチーム」高校生の意見や想いを純度の高いまま受けいれつつ、でも、ブランド・お店として本当に「良い」と思うものができるようにオムスビスタッフがそばにいる。「良い」と思う感覚の基準は高校生にゆだね、クオリティを保てるようにオムスビが微調整する感じ。

具体的にスタッフがやったことは・・・・たたき台として案をつくる・試作やアイデア会議のスケジュールを組み、声掛けをする・でたアイデアや意見をもとに改善・形にする みたいなこと

なので、決定権の裁量としては、高校生の方が大きかったかも。だからなのか、仕上がりに向かうにつれ、高校生たちに「自分たちが作っている」という意識が芽生えていきました。授業後に、高校生たち自らお店に来てくれたり、広報を積極的にしてくれたり(後述します)、販売がはじまった今は、お店にたって手伝ってくれる学生も。

 オムスビ代表の森山もこのようにコメントしております。

タピオカ開発の過程と出来上がり

 さて、出来あがったタピオカミルクティーとは・・・!

【ミルクティーの味】
 ベースになるミルクティーの味はオムスビスタッフが研究したのちに、最後の味の決定は高校生が行いました。大人の味覚と高校生の味覚は違います。もう、びっくりするくらい違う。私がつくったのは美味しいけどインパクトがない・・・とイマイチな反応。素直でありがたい。なんとなくミルクティーは一種類、と思っていましたが、甘さを強めたもの、お茶の味が感じられるスッキリしたものの2パターンを最初に出すことに決めました。

【ロゴ】

 最初は丸形ロゴを提案。高校生の反応も悪くはなかったです。が!店名が「オムスビ」であることから△はどうか?と高校生から提案。店名を知ってもらうという視点が店に馴染みのない彼ら彼女だからこそであっぱれ。無難に「っぽい」ものをつくっていたと反省しました。

【価格の設定】
 定価450円、学生350円(オムスビのドリンクはすべて、学生は100円引き)
毎日買うにはちょっと贅沢かなという感じですが「このクオリティでの価格なら全然買う」と高校生に太鼓判を押してもらって決定。

開発当初、学校の購買での販売も考えていました。その際、ほかの商品と比べるとちょっと高く、でもたまに贅沢してでも買いたいと思ってもらえるものを狙ってました(保健所許可の関係で販売は断念しました)**ちなみに、原価率は多少高めにはなっているので、経営的には要改善! **

広報ツールとターゲット

 今回のメインターゲットは高校生。インスタグラムとツイッターでの拡散に加え、学校の帰り道やまち中で見てもらえるようにとポスターをつくり、掲示しました。また、報道陣向けにプレスリリースを出したところ、地方のNHKニュースや地元の記者さん5名が取材に来てくださいました。

 発売後もラジオやテレビ局から取材の問い合わせがちらほらとあって本当にありがたい限りです。

【インスタグラム用画像】

【B2ポスター】

デザインについて

 これらはオムスビスタッフで作成。ビジュアルになる写真はオムスビタピオカをつくった高校生にモデルになってもらい「あったらいいな、こんなシーン」をイメージしながら撮影しました。

カメラ好きな学生も一緒に撮影してくれました。友達同士だからこそ撮れた写真があったので1枚採用。最もリアルだなあ、と感じます。さて、どれでしょう。

 写真にのせるテキストは、タピオカを作る際中に高校生が発言していたものをほとんどそのままに。飲んだ時の感想やドリンクの印象、タピオカを飲むシーンのリアル感にこだわりました。商品発売情報だけでなく、誰が作ったのかということや、つくる過程が伝わるように意識して作りあげました。

 これらの画像を高校生たちに共有し、彼ら自身のSNSで共有してもらう・・・つもりだったのですが。自分たちで画像まで作って、そっちで広報してました!自分たちで作ったもの、伝えるためにつくったものにはかなわないなあ、と。

高校生作の画像

スタッフが作成したものにもリアクションは良かった感じあったけど、社交辞令的なやつだったのかな?なんて

”Young is King.”まじですごい、JKの拡散力

 今回驚いたのは女子高生の拡散力です。500人前後の高校生のフォロワーをもつ学生が、販売に関するツイートをしてくれたのですが・・・最終的にエンゲージメントが2000越えしてました。届いている先も高校生が多いだろうから、これは本当、大人がタピオカ出しましたよー!とか発信する何倍も効果あったと思います。実際、地元の高校だけでなく、隣の市の高校生が発売イベントにも来てくれててビックリしました。

ちなみにお店の公式インスタはエンゲージメントは230程度だったので純粋に数字だけみても10倍近くは違う。

塩谷さんのこちらのnoteにもありましたが、これまで大人ばかりでやっていた私たち・・・”Young is King."であることを感じずにはいられませんでした。

タピオカはみんなの人気もの

 販売を開始してから、今まであまりお店にこなかったママ世代のお客様が来てくれたり、小学生たちがおつかいするように来てくれたり・・・タピオカは女子高生や若いティーンの飲み物という印象がありましたが、パパや近所のおじちゃんも普通に買いに来てくれます。(めっちゃ行列できる都会にある専門店じゃないから逆に買いやすいという理由もあるかもですが)今回は、高校生があったら嬉しいと思うものとして商品開発しましたが、それ以上の反響がありそうだなあとちょっとゾクゾクしています。

 また、しばらくしたら反響の続きを書きたいです。
 読んでくださりありがとうございました!

メディア掲載▼
・福島民友新聞 
https://mainichi.jp/articles/20190709/k00/00m/040/045000c
・毎日新聞 
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20190704-393260.php
・河北新報https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201907/20190712_62019.html
・NHK福島ニュースhttps://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20190703/6050006062.htmlhttps:

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