心理学検定キーワード第4章【社会・感情・性格】4.17(感情の生理過程)
うつになった時に何が起こっていたのか
うつ病になったのが5年前
睡眠不足(平均睡眠時間2時間とか)や上司と部下の間に挟まれるストレスなどで
相当怒りっぽく、また乱暴になっていました。
人に対してもそうですし、自分に対しても。
ある日、起きた時に身体が全く動かず、めまいがひどくて起き上がることができくなりました。
そして、もう身体が限界である事に気づき、クリニックに受診
うつ病なので、仕事は当分の間休職と言い渡されました。
私自身は混乱しながら、それでもあの地獄のような時間を過ごさなくてもいいのかと少し気が楽になりました。
本日のテーマは
感情の生理過程という事で
ホルモン物質や、脳の機能が出てきます。
うつ病の時体にどんな変化が起こっていたのか。
それも説明していきます。
→感情の生理反応
感情の生理反応は
自律神経系によって生み出されます。
自律神経系は
・交感神経系
・副交感神経系
に分かれています。役割としては以下の図を見てください。
特に交感神経の活動によって生理反応が生み出され
・心拍数の上昇
・血圧の上昇
・瞳孔の拡大
・呼吸数の増加
・発汗
・副腎髄質からのノルアドレナリンの放出
などが生じます。
上記の指標を使って虚偽供述に伴う感情動揺の測定に使うのが
ポリグラフと呼ばれるものです。
また、自律神経系は大脳皮質、偏桃体、視床下部などの中枢神経系からの神経経路をもち
中でも偏桃体は長期記憶の座とみなされる海馬と神経経路を持っています。
ここで偏桃体ですが
大脳辺縁系を構成する部位で、記憶、感情、脅威の知覚、恐怖の学習に重要な役割を果たすものです。
このなかでも特に恐怖の感情体験に偏桃体が大きく関与しています。
ウルバッハ=ヴィーテ病という両側偏桃体が損傷している人は
「怖い」という表情の認識能力が無いことが報告されています。
また、ラットを用いた実験にて
偏桃体を損傷させると恐怖条件付けが成立しないことが分かり
一方海馬を損傷させた場合は恐怖条件付けは成立したものの
文脈条件付けが妨害されるという結果を得ました。
このことから
海馬は恐怖にの記憶に関与していることがわかりました。
不安障害に対して投与されるベンゾジアゼピン系薬がありますが
これはGABAという抑制性の神経伝達物質を増加させて
偏桃体を含む神経系全体を鎮静化させる効果があります。
GABAといえばww
ですね。ストレス社会に生きるあなたにというフレーズで結構有名になりましたが。
一般的なイメージはGABAによって気持ちを落ち着かせるという事でしょうか。
→怒りと暴力とうつ病
強い怒り、暴力(自殺も含む)、そしてうつ病にかかわる神経伝達物質の1つとして
セロトニンがあります。
セロトニンの低下によって、攻撃、気分障害、強迫性障害(強迫症、OCD)、睡眠障害との関係性が強いといわれます。
また、怒り、不安、恐怖に関連する神経伝達物質としては
ノルアドレナリン、コルチゾール、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)
があります。
抗うつ薬として使用される
フルオキセチン(パロキセチン、フルボキサミン)はセロトニン再取り込みを選択的に阻害する薬で
自信喪失、失敗恐怖、批判への過敏反応、幸福感の喪失の改善に有効とされています。
セロトニンを生成するのに必要な物質に
トリプトファンというものがあります。
人における9つの必須アミノ酸の1つで、牛乳から発見され、乳製品や大豆製品、ナッツ類などの様々な食品中のたんぱく質に含まれています。
ここからわかるように
タンパク質不足がセロトニン生成を阻害し、低下させ
うつ状態に陥りやすくなるという事です。食事は本当に大事ですね。
炭水化物過多の食事が続く人は要注意です!
また、市販のアミノ酸ドリンクはトリプトファンが欠落しているかつ、糖質が非常に多いのでこちらも飲みすぎ注意です。
→ドーパミンと関係する諸症状について
決算ボーナスが出ることが決まった時に、無茶苦茶うれしくないですか?
まだ、実際には振り込まれて無いにもかかわらずw
報酬が与えられる、それが与えられることが予測されたときに
側坐核を中心とした中脳皮質縁系ドーパミン経路からドーパミンがどばーっと出てきます。
報酬の提示(あくまでも予期段階)を繰り返すと
条件刺激に対するニューロン活動が上昇しますが
報酬そのものに対するニューロン活動抑え込まれます。
これは、幸福感が
報酬そのものを得られた時だけじゃなく、報酬を予期した時に高まるというものです。
ドーパミンは上記の快感情に限定的なものではなく
統合失調症、強迫性障害、トゥレット障害、多動性障害において関連性が示唆されています。
多動性障害はDSM-5ではADHD(注意欠如・多動性障害)とされています。
→左右の脳半球とポジティブ、ネガティブ感情
顔面表情の認識と感情表出は一般的に右半球の優位性が見られます。
また感情体験は左右の脳で異なった役割を果たしていると考えられます。
左半球でポジティブ感情
右半球でネガティブ感情
の感情体験に寄与しています。
左半球に損傷を持つ患者は不安や悲哀を経験しやすく
右半球に損傷を持つ患者は多幸感を得られやすいといわれています
→本日の内容‐箇条書きまとめ
・自律神経系は交感神経系と副交感神経系に分かれる
・主に交感神経の活動によって自律神経系が生み出される
・交感神経の活動によるものにノルアドレナリンの放出がある
・自律神経系は、大脳皮質、偏桃体、視床下部などの中枢神経系からの神経経路を持つ
・偏桃体は長期記憶の座とみなされる海馬との連絡を持っている
・偏桃体の損傷→恐怖条件付けが成立しない
・海馬の損傷→恐怖条件付けは成立するが、文章条件付けの妨害
・不安障害の代表的な薬物にベンゾジアゼピン系薬
・ベンゾジアゼピン系薬はGABAを増加させる
・セロトニンの低下によって、強い怒りと暴力が伴う
・またセロトニンの低下はうつ病、強迫性障害の特徴がある
・セロトニンの生成にはトリプトファンが必要
・トリプトファンは必須アミノ酸の1つ
・ドーパミンは統合失調症、強迫性障害、トゥレット障害、多動性障害と関係性がある。
・顔面表情の認識と感情表出は右半球の優位性がある
・ポジティブ感情は左半球
・ネガティブ感情は右半球
・左半身損傷→不安や悲哀を経験しやすい
・右半身損傷→多好感を得られやすい
以上。本日は感情の生理過程についてでした。
次回は感情の障害について。
それではまた次回。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?