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[CAHE blog #00] Microsoft Teamsの大型アップデート

遠隔授業に使うツール、使ってみたら・・・


オンライン教育のためのソフトウェア、アプリには、本当にたくさんの種類があります。同期型(ライブ配信)にはZoomが、非同期型(オンデマンドの教材配信)にはLMS (manaba や Google Classroomなど)を使った方が多かったかもしれません(※参考:遠隔教育のABC 第1回)。どちらにも使える、その柔軟性の高さから Microsoft Teams を遠隔授業やオンライン教育に活用した、という声も多く聞きます。ところが Teamsは、ビデオ会議システムとして設計されたZoom、学習管理に特化したmanaba・Google ClassroomなどのLMSと設計思想が違うために、いざ使ってみて、(見た目だけではなく)戸惑うこともあります。当初はブレイクアウト・セッションができなかった、ビデオ会議が300名までだった、課題の割り当てが200名を超えてできなかった・・・使ってみて初めて気づく制約は以外に多かったのではないでしょうか。

ところが、今回の大型アップデートでは、課題の割り当ての上限が300名まで増えたり、AI支援が追加されたりと、教育用途には大盤振る舞い!となっています。特に、授業設計に影響するものもありますので、速報としていくつか抜粋紹介したいと思います。

教育向けの大型アップデートは9項目

・個別最適化学習
 - 音読支援が充実し、学生が自分の音読を録画することで発音の正確度などの分析が得られる

・課題機能
 - Office365カレンダーとの連携 課題〆切日が一覧管理できるかも
 - モバイルアプリからの写真提出 レンズ(Lens)との統合で便利に
 - 校務システム連携(日本の主要プロバイダーには非対応、今後に期待)
 - 「課題」から直接、小テストを作成・編集・割り当て可能に
 - 課題の割り当ての上限が、200から300に!

・Education Insights インサイトにエンゲージメント・感情分析が追加
 - Reflect(心の天気図) ソーシャル・エモーション(社会情動性、SEL)を推測する
 - OneNote クラスノートブックに対して、学生の利用状況把握ができるように

・チャット、ミーティング
 - スーパーバイザーチャット 指定された教育者が離席するとチャットが始められないなど、監督付きのチャットが利用できるように
 - 個人またはクラス全体のビデオを無効化するオプションが追加

・大規模会議、ウェビナー
 - 最大1,000名までの会議・ウェビナーがサポート対象に
 - 会議参加者のカスタム登録 イベント開始前の登録ページの作成やカレンダー同期もできるように
 - 会議参加者リストの表示改善 「ロビー」「発表者」「参加者」に分割

・ハイブリッド、遠隔授業
 - ブレイクアウトルームにタイマーが! 自動的に閉じることができるようになります
 - グループ設定の再利用 次回のブレイクアウトルームへ設定を引き継げます
 - コンテンツ共有のWindows統合 画面共有するときに便利に
 - 会議参加者名簿の検索が可能に
 - 会議中の投票(Microsoft Forms Poll) いままではチャネルにPollを作成していましたが、ビデオ会議の画面上にリアルタイムで投票・回答が表示されます

・Macでの利用改善
 - 画面共有時にコンピュータ音声を含めることが可能に これまではWindowsだけで可能でした
 - Edge, Chromeブラウザでの表示機能改善 ギャラリービューなどが選択できるようになり最大49人が1画面で
 - AIによるノイズキャンセリング Macでも利用可能に

・Teamsの連携機能
 - 外部ユーザ(組織外)をチャットに含めることができる! 最大250人の外部ユーザと連絡が取れるようになるので、アカウントの切替が不要になります

・インタラクティブな授業
 - 利用可能なアプリに Whiteboard.chat(インタラクティブ・ホワイトボード機能)と eCare Vault(健康状況把握、日本は非対応)が追加

※詳細は、Microsoft 中田さんによる以下のスライド(日本語訳)と、出典記事を。


ツールや機能を使う・使わないという選択

ソフトウェアのアップデートは、日進月歩で、追いかけるのも大変です。できることが増えれば、その分、使い方に戸惑う場面も増えていくでしょう。批判的にデジタルツールの効果を見極めて使う・使わないを決めるという「デジタル・ペダゴジー」という考え方も提唱されています(※)。これからも遠隔授業の実施のために、どのツールを使い・使わないのか、授業の学習目標と学習活動に照らしてどの機能を使えるのか・使わないのか、柔軟な判断ができたらいいですね。そして、新機能を使う前には、ソフトウェア「更新」を忘れずに!

出典:What’s New in Microsoft Teams for Education | May 2021 https://techcommunity.microsoft.com/t5/education-blog/what-s-new-in-microsoft-teams-for-education-may-2021/ba-p/2394183

※参考:遠隔授業をはじめるために(ツールの選択にあたって、デジタル・ペダゴジーを紹介)



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