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京都サンガ2021 第3節 第二試合 vs大宮アルディージャ



前節から中2日で迎えた、大宮との再戦の模様をお届けします。


2021年3月24日(水)
明治安田生命J2リーグ 第3節 前半19分から
NACK5スタジアム
大宮アルディージャ 1-2 京都サン
得点者:武富孝介(18分・京都)、ネルミンハスキッチ(44分・大宮)、ピーターウタカ(85分・京都)

3月13日(土)の前半19分の雷雨中断から4日、(怪我等の理由を除いて)スタメン・ベンチ含めてメンバーが固定、スコアは0-1からの再開というイレギュラーな試合でした。




↓↓↓前回対戦時のレビューは以下からご覧ください↓↓↓


大宮、果敢な立ち上がり

スタメンは3月13日と同じです。
大宮のベンチメンバーに変更がありました。大山が外れて小島が代わりにベンチ入りしました。


前半19分、京都が先制した直後の大宮キックオフで再開のところからスタートです。


立ち上がりから積極的なプレスとロングボールで押し込んできた大宮のペースになりました。


大宮は、第1試合ではロングボール1発あるいは丁寧なビルドアップで京都を押し下げてから、ピッチを広く使って相手を引き出しそこから崩していこうという意図が見えました。

第2試合では第1試合の京都の戦い方をもとに、SBが横に開き、GKを使いながら横幅と奥行を使ったビルドアップで京都のプレスを誘発。
GKやCBから最終ライン裏を狙うボールで擬似カウンターの形を狙っていました。

こうすることで京都の中盤のプレスバックが物理的に不可能になり、大宮のアタッカー陣vs京都のディフェンス陣という構図が出来上がっていました。

例:26:41〜

このシーンでは京都の右サイドでしたが、左サイドにも同様の配球が行われていました。

このとき大宮のサイドハーフ(SH)は高い位置を取り2トップが孤立しないようにポジションを取っています。ボールロストしても前線の4枚でプレッシャーをかけて高い位置を取り続けようというプランだったのでしょう。


右サイドの松田詠と馬渡のコンビネーションは特に素晴らしく、ロングボール以外からでも再三チャンスを作っており、京都は左サイドを狙われ続けていました。


大宮同点弾のシーンは一部だけ切り取ると京都の何気ない連携ミスですが、一連のプレーを見ると大宮が狙っていた形からのゴールだったので、やりたいプレーをされたという見方が出来ると思います。


ただ安直なミスがなければ防げた失点でもありましたし、その点は修正して次に繋げてもらいたいですね。



後半、京都の崩し

前半からボールを握る時間が長かった京都は何度か右サイドからビルドアップしようとしていましたが大宮の強いプレッシャーを受け上手くいっていませんでした。(下図)

後半になると若干立ち位置を修正し、大宮が少し引き気味に構えたことも相まって能動的にボールを動かせるようになりました。

飯田と福岡の立ち位置でSHのプレスを無効化し、先手を取って得たスペースを宮吉やウタカが連動して使う連続的な攻撃です。

2つのシーンを例に挙げたいと思います。


①46:33~ 飯田が44ブロックの手前(相手SHの手前)まで下りてボールを受けます。同時に福岡も上図と同様に2トップ脇まで下りようとします。
ここで宮吉も同時に下がってくることで相手のCHとSHを引き付け福岡をフリーにします。福岡は空いたスペースに流れ、飯田からのパスを呼び込みました。(下図)

この後、対応に来た櫛引が空けたスペースをウタカが使い、さらについてきた西村のスペースに宮吉が入り、連鎖的にスペースを攻略してシュートまでいきました。


②47:33~ 相手のプレスをいなして右サイドからボールを進めたシーンです。相手のスライドが間に合ってないため、飯田が44ブロックの外側でボールを持てました。そこから宮吉、福岡と繋ぎます。(下図)


さらに福岡から宮吉→飯田→ウタカ(下図)→宮吉と繋いで最後は福岡がシュートを放ちます。

図には書いていませんが、ウタカが動いてできたスペースに宮吉が、さらに空いている相手のバイタルエリアに福岡が走りこんでボールがつながりました。


2つのシーンに共通するポイントは以下の3点です
SHに対し数的優位or位置的優位を作って起点を作る
②相手のCHをランニングなどで食いつかせて動けなくする(ピン留め)
③連動した動きで相手の出てきたスペースに人とボールを送る


どちらも起点にするポイント・スペースの共有が感じられるシーンでした。


ボールを動かすことは大前提として、スペースにボールを送るタイミング・人が侵入するタイミングが非常に良くなったと感じます。

トレーニングマッチを含め以前はこういったアタッキングサードでの崩しがごちゃごちゃしていていましたが、連携がスムーズになっており高度なトレーニングを積んでいることがうかがえました。



アンカー麻田将吾

78分、負傷した武富に代わって麻田が投入されました。
本職はセンターバック(CB)ですがこの日は川崎が務めていたアンカーの位置に入っています。


麻田の評価の前に京都のアンカーの役割を整理しておきましょう。

①前線・中盤のプレスに連動して後方で相手を潰す
②セカンドボールを回収する
③(主に攻撃時)中盤の広いエリアのカバーリング
④チャンスの際はゴール前に顔を出す

大きくこの4点が現在アンカーで起用されている川崎に課せられている役割です。

しかし麻田は本職がCBで川崎とはプレースタイルが異なるため、"自分の持ち味を出したアンカー"を務めていました。

特長が出たのは77:48のシーンです。
京都のプレスがいなされ最終ラインとアンカーの麻田が下がりながらの守備を強いられていました。この時2CB間のスペースと中盤の中央のエリアの両方をケアしています。
さらにゴール前では一瞬空いた本多とバイスの間のスペースに下りてクロスに備えていました。


またプレスをかけるインサイドハーフ(IH)やウイング(WG)の後ろのスペースをケアし、そこに入って来る選手に対応していました。

積極的に相手を捕まえて潰しに行く川崎とは違って本職がCBなだけあって、下がりながらの守備や自陣ゴール前でのポジショニングでは川崎にはないモノを見せてくれました。

スペースを管理するタイプのアンカーとしてプレーしており、守備的ではありますが非常に良い働きだったと思います。どうしても逃げ切りたいときやスペースを消したいときなどにうってつけの人選と言えるでしょう。
前回レビューで書いたような京都の弱点をカバーできる存在になりえます。


その他感じたこと

得点につながった大宮の狙い京都の再現性のある崩しをピックアップしましたが、まだ書きたいことが多いのでご参考ばかりに私のTwitterを少しばかり貼っておきます。

 ①個人的なピックアッププレー、飯田のチームを救う完璧なタックルに”熱盛”

②川崎の異様なセカンドボール回収率の高さと大宮2トップの守備タスクの関連性について

③着実にプレー時間を延ばしている中野克哉の個人的な評価

④京都の崩しと大宮の守備ブロックの関連性

⑤京都が球際で圧倒していたのは気のせいじゃなかった


さいごに

リアルタイムで見てると前半は押され気味で後半は押してて、ただどちらも前後半でチャンスとピンチがあって、不思議な試合だったなというのが正直な感想です。

PKとはいえ勝ち切れたというのは強さだと思いますし、PKゲットに貢献したのが途中出場の選手だったというのも長いシーズンを戦う上で大きいのではないでしょうか。


試合全体を通して、やりたいこと・トレーニングで取り組んできたことが形となって表れているのは非常にポジティブです。チャレンジしていることが目に見えて結果につながり成功体験となるのは開幕直後の今の時期が最も多いので、チームビルディングではスタートダッシュに成功したのかなと思っています。


とにかく昨季ダブルをくらわされた大宮に、まずは先制パンチを入れれたのでよしとします。


最後まで読んでくださりありがとうございました。



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