2019第26節 京都サンガ×東京ヴェルディ

忘れもしない。
2018年7月29日(日)
最下位に沈む京都は東京ヴェルディをホームに迎え善戦するも0-1の負けを喫し4連敗。
サポーターは90分ノンストップで歌い続けチームを後押しした。


あれからおよそ1年。


今度は首位を争うチームとして、たけびしスタジアム改名後初試合で、東京ヴェルディをホームに迎えた。


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8月4日(日)

明治安田生命J2リーグ 第26節
@たけびし(旧・西京極)


京都サンガ 4-0 東京ヴェルディ
得点者:一美和成(16分、26分・京都)、ジュニーニョ(17分・京都)、宮吉拓実(48分・京都)



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1)スタメン

スタメンは以下の通り。

前節からスタメンを6人入れ替え、ターンオーバーしつつ相手のスタイルを考えたうえでのスターティングイレブン。特筆すべきは宮吉、重廣の組み合わせとジュニーニョの起用だろう。

三者に共通することは

・運動量がある・守備の貢献度が高い

ボールポゼッションで相手を押し込む京都に似たスタイルを目指すヴェルディに対し、京都は積極的なプレスで自由を奪い主導権を握った。その立役者がこの3人なのだ。


※レアンドロをトップに4123表記をしているが、ヴェルディサポ曰く”フリーマン”の役割のため正しくは442らしい。中盤がダイヤモンド型、両WGが外に開いた2トップという感じ。

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2)圧倒的な力の差

ヴェルディの目指すサッカーは恐らく京都と似ている。しかし序盤からボールを保持し主導権を握ったのは京都だった。

開始わずか1分少々、左サイドで密集地帯(オーバーロード)を作り出してから手薄になった(アイソレーション)右サイドに展開。ジュニーニョが仕掛けてクロスを上げた。シュートこそ打てなかったものの今季の京都を象徴する攻撃の形がさっそく出た。

6分に小屋松、7分にジュニーニョと立て続けに枠内シュートを放つ。

守備でも縦パスを入れさせず、451→442の可変プレスでビルドアップを阻害しマイボールにするシーンが多かった。


16分、左サイドからの打開を図るもヴェルディの好守に阻まれ後ろへ戻す。ロングボールのこぼれ球を拾ったジュニーニョが一美へパス。一美が半ば強引なシュートでネットを揺らす。

すると直後の17分、激しいプレスで相手をゴール前に追い込むと、ジュニーニョがパスカットしそのままゲット。

26分には庄司の浮き球パスに抜け出した一美が、48分には安藤の浮き球パスに抜け出した宮吉が、どちらも巧みなトラップから冷静にゴールを奪った。


1、2点目は相手が繋ごうとするところをプレッシングで狙い、3、4点目は相手の守備の綻びを見逃さなかった。


京都がこれまでに特徴として持っていた

・451→442の可変プレスでボール奪取しショートカウンター

・オーバーロード(密集地帯)とアイソレーション(過疎地帯)を利用した崩し

・ハーフレーンで一美のポストプレーを駆使した崩し

が90分を通して行えた。特にプレッシングのところは、宮吉、重廣、ジュニーニョがよく走って相手を自由にさせていなかった。


京都が積極性を見せたこともあるが、ヴェルディの守備の脆さが京都の狙いを完璧に引き出したというべき試合だ。

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3)守備とは

試合序盤こそ佐藤優平を庄司のマークにあてて4411で守っていたものの、レアンドロの守備時の運動量の少なさと全体のプレスの連動性の低さから京都が中盤でボールロストする機会はほとんどなかった。

庄司にマークを付けているだけの状態で、それ以外がほぼノンプレッシャーなので、京都は簡単に押し込むことができた。

44の守備ブロックは横のスライドが遅くサイドで京都に猶予を与えてしまったり、人につくのかボールに行くのかあいまいで簡単に剥がされたりするシーンが目立った。

最悪だったのは2点目を失った後の布陣変更だろう。

3421(守備時541)に変更し、5-4ブロックで5レーンを埋めてハーフレーン対応をしようとした。考え自体は悪くないが、庄司へのマークをやめたことで京都の勢いを止めきれず、またボールを持ってもマークされたレアンドロが前にいるだけで、自ら攻守のバランスを崩していた。


基本的に4411で構えてリトリートすることを選択していただろうが、どこにボールを誘導して奪うのか、「ボールを奪う」という守備の根本的な概念が存在していなかった。

京都からすれば、よく動くコーンがあったに過ぎない。


いい守備なくしていい攻撃はない。


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4)最後に

4-0という結果は非常に気持ちの良いもので、下畠や宮吉といった京都で長年愛されている選手が活躍したことは感慨深かった。

一方、試合を観返した時に、手ごたえのなさ・見ごたえのなさがなかったことは残念である。

この試合から得るものがあったかというと正直少ないだろう。京都の戦いが完璧にはまればこれくらいですよ、というショーに近い。


こういう試合こそ、勝利の余韻に浸るのではなく切り替えて次を見据えるべきではないのか。




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