不審署名を統計する:愛知県知事リコール選管無効判定署名データから

はじめに

継続ウォッチしている愛知県知事リコール。少し本業が落ち着いたので、ため込んでいた解析関係を上げます。
今回は、愛知県選管が発表した無効判定率と、リコール事務局側の弁護士様が公開している署名簿総数等データから、無効判定署名を統計的に見ていきたいと思います。

なお、一部手作業で集計のため、若干の数量誤差があるかもしれません。そこはご了承を。別に秘密の情報は一切使っていませんので、気になる方はご自身で計算をしてみてください。

引用元

なお、エクセルデータは愛知県選管公開の有効・無効判定と同一でした。

無効率別選挙区数

まずは、選挙区別の無効比率ヒストグラムから。
便宜上、無効比率は10%単位に四捨五入しています。

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ここから言える事

①80%以上が無効と判定した選管は45選管となり、64選管の中の約7割を占める。
②70%以上が無効と判定した選管は52選管となり、64選管の中の約8割を占める。

署名数に対する無効分布

次に、署名数に対する無効分布を見てみます。

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えいやっと見た感じですが、ハッチングを入れました。

③おおよそ3000筆以上ある選管は、概ね70%以上の無効率
④その後は署名数に関係なくほぼ均一に80%前後で無効

署名簿数に対する無効分布

次に、署名簿の数に対する無効分布を見てみます。
なお、一部選管は情報がないため、ポイントの数は1つ減っています。

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こちらもハッチングを入れました。

⑤1000冊を超えてくると、80%程度の無効率になっている
⑥しかしながら、小牧及び西尾については、冊数に対して無効率が比較的低い

署名簿の欠番等状況別無効比率

次に、署名簿番号の状況に注目してみます。

署名簿番号の打たれ方について、以下の条件設定をおいて、該当する/しないで仕分けをしてみました。

(a)複数冊欠番後の再開署名簿番号が、キリ番でない。
(1,000番からとかではなく、658番から再開、等)
(b)単独欠簿がある
(c)枝番がある

上記うち、(b)(c)については、ごく少数であればスタンパーミスだったりの可能性は十分あります。しかし、改めてみると結構破廉恥な欠番・枝番も見受けられます。そのため、(b)(c)に関しては1冊でもあれば「街頭する」として集計をおこないました。

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70%以上無効判定の選管で、上記の3条件該当なしは16選管のみ。他の36選管では、なんらかの変な署名簿番号打ちがなされていることが見受けられます。

なお、欠簿・枝番については、複数(ものによっては枝番200冊以上等)も見受けられました(データ読み間違いの可能性もありますが)。
署名簿番号打ち作業(KKR)での混乱、だけが原因でしょうかね?

一方で、notキリ番は、発生原因がよくわかりません

(考察中)請求代表者/受任者用紙別の有効無効率

こちらは表計算は終わっているのですが、表現見せ方に少し悩み中。
実施した事項は以下

・受任者用署名簿に記載の人数を仮定(7人及び5人)
・上記条件を置いた時、署名数と署名簿数から、受任者用署名簿と請求代表者用署名簿の冊数を算定(2元1次連立方程式)
・「同一筆跡」は請求代表者用署名簿では判定できない、との仮定をたて、無効署名は受任者用署名簿から発生していると仮説
・上記仮説に基づき、受任者用署名簿の有効/無効率を算出

上記を各地区で実施すると、ほぼ大口選管のすべてで、受任者用の無効率は90%~100%になるんですよね・・・。

そこで、全体でマクロ感をつかんでみたいと思います。

上記愛知県選管の資料に以下記載があります。

同一人により書かれたと疑われる署名が、約 90%

そこで、県全体の署名簿(幸田町のみ除き)の総数で、以下前提で試算してみたいと思います。

・受任者用署名簿に記載の人数を変数として設定
・上記条件を置いた時、署名数と署名簿数から、受任者用署名簿と請求代表者用署名簿の冊数を算定(2元1次連立方程式)
・「同一筆跡」は請求代表者用署名簿では判定できない、との仮定をたて、無効署名の90%は受任者用署名簿から発生していると仮説
・上記仮説に基づき、受任者用署名簿の有効/無効率を算出

幸田町除きの基礎データ

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上記前提に基づき、請求代表者用署名簿と受任者用署名簿の推定比率を下に示します。

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この青の受任者用にて、90%無効である323,604を実現するための有効・無効をプロットすると


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受任者用署名の平均筆数に対する無効比率推移は以下

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最低でも75%以上の受任者用署名簿が無効となったと推されます。

なお、本算定では、代筆とされた署名簿の中の署名すべてが無効との前提での超概算です。

注意事項とまとめ

本算出は、あくまで統計的に、機械的に算定しただけの記事。
これを以て、「事務局はほとんど偽造署名で提出させてた!」だとか、「選管は受任者用のものをほとんど無効にした!」と論ずるのは、単純・稚拙・幼稚すぎると思います(別に本データを利用してもいいですが)。

以下、現時点で私が気になる事項。

①署名簿番号の打ち方の不備。
多少の欠番、多少のラップによる枝番打ちはあるでしょうが、すこし破廉恥すぎます。
②無効比率
全体署名数がある程度多くなると、ほぼ均一になってくるところも気味が悪い。
③西尾市(特異事例?)
比較的請求代表者用署名簿比率が多いと算定される西尾市では、比較的無効比率が少ない。

ちょっとまだ、個々の事象はバラバラに見えます。
私はもう少し、仮説と組み合わせ・検証をしてみたいと思います。

皆様はどう感じられましたか?
今回はこれぐらいで。

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