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【感想】ジャンプ+に連載開始された『ふつうの軽音部』の面白さは「ちびまる子感」

始まりましたね連載。ふつうの軽音部。
とあるきっかけで僕は原作担当のクワハリさんと知り合うことがあって、原作絵の作品も読んでいたのだけど、今回連載にあたり作画と原作が分かれています。原作絵は下手ウマというか、なんとも言えない良い味がありましたが、作画が分かれて絵の印象がが良くも悪くもフラットになることで、より原作・ストーリーの味が深まったようにも思えて、僕は案外悪くないのかなと思った。でもワンパンマンみたいにたまに極限状態を迎えたときに原作顔になると面白そうなのでクワハリさんやって下さい。

内容の感想で言うと、改めて見るにすごい深い人間の心模様というか、あるあるwと思うような、やっぱねーよwwみたいな日常を描いており、あーこの面白さ、キートン山田ボイスのツッコミとナレーションがあると良いなと自然と思ったわけです。つまりこの面白さの種類は「ちびまる子ちゃん」だということに気づいた。
派手にギャグをかましてウケを狙いにいくわけでなく、漫画の主人公や登場人物はありのままに生きていて、それだけで見る者をクスリとさせるのはなかなか高等なお笑いセンスだと思う。

集英社ジャンプ+『ふつうの軽音部』第1話より

たとえば僕が好きなのはこういう鳩野ちゃんの思考回路。「一軍女子しか許されないムーブw」高校のスクールカーストの底辺であることを自覚しつつも僻みはあまり感じさせない実に俯瞰した思考だ。この思考を会得している鳩野ちゃんの中身は「オッサン」なのではと思ってしまう。思わずキートン山田のツッコミナレーションが入りそうなのだが、気の利いたツッコミが僕には思い浮かばない!そう、ツッコミ無しでも面白い。
ちびまる子ちゃんの面白さも昭和の小学校3年生のリアルを描きつつも、描いているはいい年した大人というところがシュールさというか、絶妙な面白さを生んでいるので、それと同じなのかもしれない。


集英社ジャンプ+『ふつうの軽音部』第2話より

このページも好きだ。この陰キャならば誰でも頷くようなシチュエーションなのだが、それを受け入れている鳩野にはウジウジした感じはなく、読者はむしろ清々しさに好感を抱く。陰の者を描いていてもそれを笑いに昇華させるにはやはり主人公が前向きであることが大事だ。このキャラは読者から好かれるやつだ。


集英社ジャンプ+『ふつうの軽音部』第3話より

ここまで陰キャ描写の話ばかりだが、まだ陰キャの話をする。というか僕は音楽とかバンドはよくわからんので陰キャの話しかしない。でも出てくる音楽が微妙にマニアっくさを帯びててオタク好きなやつなんだろうなというのはわかる。
軽音部というパリピがいそうなところにオタクが入る。そういう心の描写が如実に現れているやりとり。陰キャ友達の矢賀ちゃんは絶対いいやつだと思う。
でも実際パリピのようでパリピじゃない?陰の者でもやっていけるのか?そんなリアルな軽音部がこれから展開を見せるであろう。リアルな展開なのでそんな劇的なことは起きないかもしれないが、僕はこの「ふつう」に何が起こるのか興味津々なのである。


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