消せない前略プロフィールと勝手に消えたモバスぺ

こうして、ホムペ作りに夢中になった中高生の私たち。持てる限りのクリエイティビティを発揮して、自分流にホムペをカスタマイズしていった。

たいていのホムペには、プロフィールとよばれる管理人の自己紹介ページがあった。

こういったホムペ内での自己紹介、あるいは自己紹介を介したネットでの交流で使われたのが「前略プロフィール」というモバイルサービスだった。

名前、年齢、生年月日、出身地など質問に答える形で、ありとあらゆる個人情報を発信するという、いま思うとちょっとゾッとするほど、明け透けなサービス。

しかしながら多くの中高生はそんなネットの危険性には疎く、学校の友達同士で自己紹介をしあったり、あるいは知らない人であっても趣味が同じ人を探すような感覚で利用していたように思う。

ただ、自分はこういう人だと発信したい、見てほしいという行動だったのだろう。
FacebookやTwitterで自己アピールする現在の中高生と、根本的には変わらないかもしれない。

しかし、私たちが発信していたプロフィールは2,3行で終わるような、あっさりしたものではなく、

好きな芸能人から休みの日の過ごし方、さらには付き合った人数まで、とにかくあらゆる「自分」を載せたバイオグラフィーと言ったほうがしっくりくるようなものだった。

なぜ私たちは前略プロフィールにハマったのか。


小学校のころ、女子たちのあいだでプロフィール帳作りが流行った。私たちは新学年になると、名前や住所、好きなものやマイブームなどを書くスペースがある小さな紙を交換してまわった。
「かわいい人」「やさしい人」などの欄に持ち主の名前を書き合う、といった茶番がなつかしい。

もらった分だけ自分のプロフィールを書く。
好きな食べ物は?マイブームは?今、恋してる?もしも宝くじが当たったら…??
私たちは、長々と自分を語ることに慣れていった。自分を、誰かに向かって語ることに。

前略プロフィールが登場する前の、アナログな時代から、私たちは長々としたプロフィールを書くことに慣れ親しんでいた。

前略プロフィールのブームはいつの間にか終わった。私が中学生の頃はまわりの友達や、高校生が利用していたが、高校にあがると目にすることはなくなった。

次第に、こんな話を耳にするようになった。

「昔書いた前略プロフィール、登録したパスワードを忘れてしまって消せない。内容が恥ずかしすぎて死にたい…。」

あの頃、夢中でしたためたバイオグラフィーは、一部の人にとっては皮肉にも「黒歴史」になってしまっているようだ。

一方で、残しておきたくても消えてしまうものもある。

高校の卒業式の日、成人式の日に見てほしいとクラス全員に小さな紙が配られた。
そこには、私たちが携帯ホームページで利用していたモバスペのURLが。おそらく、何かサプライズが隠されたホームページを制作したのだろう。

成人式当日、「そういえば」と思い出し、ホームページにアクセスを試みた。

しかし、残念ながらスマートフォンやPCからはアクセスできず。
クラスメイトが18歳のときに用意してくれたメッセージは藪の中。


文字通りガラパゴスになってしまった、ガラケー時代のサプライズであった。

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かしゃりほ

出版社で新米編集者をしてます。そろそろnote復活する!学生時代に書いたイギリス留学日記も残しておきます🇬🇧

IT世代のわたしたち。

1993年生まれ、ネットカルチャーと学生時代を振り返る。
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