Vol.4 日本の体育会学生はアマチュアであるべきか?

こんにちは。ぽんたです(@suhara_ponta

過去3回の記事では、NCAAの産業化とアマチュアリズムに歪みが生じて独禁法上の問題になっているということをお伝えしました。

Vol.1 スポーツと独占禁止法の関係について
Vol.2 NCAAの『アマチュア規制』の歴史
Vol.3 O'Bannon v. NCAA事件の経緯と教訓
Vol.4 日本の体育会学生はアマチュアであるべきか?

今後日本版NCAAなどで日本の大学のスポーツの産業化を進めていく時に、学生選手は報酬を受け取るべきでしょうか?
それともアマチュアリズムを尊び、報酬は受け取れないルールを作るべきでしょうか?
連載最後の今回は、体育会生ではない僕が、恐れ多くも今後の体育会生の在り方に物申します。※ユニサカの意見ではなく、須原個人の意見です。

(出典:http://www.bbm-japan.com/_ct/17089307)

結論から言うと、体育会生は正当な報酬を受け取り、マーケット感覚を養うべきです。日本版NCAAの仕組みづくりでは、学生選手への報酬の支払いを規制するルールを作ってはいけません。

まず、現在の体育会生の多くは、植えつけられた固定観念に縛られていると思います。スポーツに4年間取り組んで、辛い練習を乗り越えて、厳しい上下関係の中で礼儀と世間の理不尽さを学んで、根性と体力のある体育会ブランドを、過信しすぎなイメージです。これからの時代、その特徴はAIに代替されます。言われたことをきっちりこなす力は、残念ながらPCとプログラムの方が上で、しかも低コストです。体育会の力を否定してるのではなく、世の中で求められる力が変わったのです。

これからは個の時代です。自分が何者なのか、何をやりたいのかを明確に表現して形にしていく力が求められます。

同時に、自分が世間にどう評価されるのか、何が誰にウケるのか、どこに価値を発揮できるのかというマーケット感覚を身につけるべきです。世間からそのフィードバックをもらいながら自分の価値を高めていくべきです。

多くの学生が起業したり、学生団体を立ち上げたり、プロジェクトを立ち上げたり、ベンチャーでインターンをしたりして、実力と実績を積み上げていきます。体育会生はその間ひたすら練習をしていればいいのでしょうか?

今の学生には様々な成長機会が転がっています。なんらかのプロジェクトを立ち上げて動かすのも学びがとても多いです。体育会生はせっかくそこに自分のやっているスポーツというオリジナリティーを掛け合わせて行けるのに、体育会生のスポーツに関する報酬の受け取りを禁じたらその可能性が一気に狭まってしまいます。これは大人のエゴです。

体育会生は貴重な財産を持っていると思います。それは「応援される力」です。これは僕が好きだからかもしれませんが、スポーツって応援しやすくないですか?勝ち負けがあって、リアルタイムで、白熱した空気感を身体で味わえて、感情移入しやすい。つまり、ファンを作りやすい。

これと親和性が高いサービスがいくつもあると思います。例えば個人が株式会社のようにVAを売り買いできるVALU、自分の時間を売買できるタイムバンクといったサービスでは自分の現在のマーケットバリューを確認できます。

渡辺夏彦がやったようにプロジェクトを立ち上げてクラウドファンディングに挑戦すれば、自分のやりたいことに対してどのくらいの人がサポートしてくれるかというフィードバックが返ってきます。簡単なところではSNSやブログの発信での反響でもいいし、レベルの高いところではオンラインサロンを開設してもいいと思います。

こうした個人のファンからのマネタイズ方法は増えています。

NCAAでは「プレーの対価として報酬を受け取ること」を禁じていますが、こういったサービスを通して選手にお金を払うファンは、きっと選手のプレーヤーとしての側面とそうじゃない一個人の側面の両方に価値を感じていて、そこは切り分けられないはずです。こういったサービスの全てを禁止して取り締まりますか??

「学生の本分は勉強だ、部活以外は勉強しなさい」と言う方に対する反論です。あなたは「私は学生ではない、だから勉強しなくて良い」とおっしゃっているように聞こえますが大丈夫ですか?僕が知っている尊敬できる社会人の方はみんな常に勉強し続けています。必要なスキルがめまぐるしく変わる時代、勉強し続けることは必須です。

継続的に勉強し続けることになるのに、学生の間は勉強だけをしなきゃいけないというのはロジックが通っていません。 勉強したければいつだってオンラインでハーバードの授業が無料で受けられる時代です。あらゆる知識がネットに転がってます。教授が教科書を音読しているだけの教室には行かず、別の活動から学びを得ることも立派な選択肢の一つです。

「部活は教育の一貫だから、学生は報酬を受けるべきではない」という方に反論です。教育に金銭やビジネスを絡ませることの何が問題なのでしょうか?例えば企業の社内教育、あれ教育ですよね?僕はベンチャーで長期インターン中に受けさせてもらったある種の教育プログラムが人生で最も大きな学びでした。教授や顧問に評価される教室内の教育より、市場からフィードバックをもらえるお金を交えた教育の方がよっぽどリアルで価値があると思います。「教育の一貫だから」論者の多くは先生で、ご自身が一度も学校以外で働いたことがなく、市場に晒されたくないからおっしゃっているのではと思ってしまいます。生徒が失敗したら自分の責任だからやらせられないという人も多いかと思いますが、教育だからこそチャレンジさせて失敗した時のフォローを大人がすべきです。

まとめます。

・体育会生は積極的に動いてマーケット感覚を磨きつつ、個の価値を高めるべき!
・大人がそれを抑制するのはナンセンス。時代に乗り遅れて体育会生は価値を失ってしまう。
・黙って挑戦を見守って、失敗したらケツ拭くのが教育!
・よって体育会生の報酬受け取りを禁止してはならない!

新しいプロジェクトやサービスに挑戦する体育会生が各地で自然発生する環境にしたい。大学スポーツ全体を学生主導で盛り上げたい。そういう想いでユニサカは立ち上がりましたし、新規事業も進めています。日本の大学スポーツがよくなるように僕は発信を続けます。

以上、体育会生でもなんでもない自分からの体育会生とそれに関わる大人たちへの提言でした。

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連載:体育会生は報酬を受け取るべき!?

日本版NCAAなど大学スポーツが産業化していく中で、体育会生は報酬を受け取っていいのか!?という内容を独占禁止法の観点から論じます
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