TTジョグ

TT(タイムトライアル)とジョグという相反する練習が合わさった言葉に違和感しか覚えないだろう。

リクエストを頂いたので、一見意味がわからない練習について真面目に書いてみようと思う。

説明するならば、ジョグの範囲内でペースを上げまくる練習である。つまり速いジョグ。

自分とTTジョグの出会いは高校時代に遡る。

高校の朝練は基本自分が引っ張っていたのだが、8kmのコースをキロ3’30くらいで走り、ラストはあげる時はキロ3’00近くまで上げていた。周りがついてこれるかどうか、よりも本能的に周りを振り落とすつもりで走っていた。(普通に良くない)。朝からジョグのつもりでこのペースはほとんど全力に近い。

高校時代はLT付近のペース走という練習をやったことはなかったが、毎回のジョグがほとんどTTジョグだったのでペース走の役割を果たしていたのだと思う。TTジョグを連発しまくっていた高2秋にかけて5000mの記録が14’58→14’27にジャンプアップしたので、基礎的な有酸素能力向上に役立った実感はある。この14’27という記録が陸上人生のターニングポイントになって今があるので決して無視できない練習である。

大学時代の合宿の朝練でも、高校時代のノリでペースをめちゃくちゃに上げたことが結構あった。それに後輩が”TTジョグ”と名付けたことが始まりである。一見自己矛盾に陥ってそうでしっかり本質を突いたネーミングだと思う。

TTジョグのメリットを挙げていきたい。

・最初は普通のジョグのつもりで始まるので、心理的障壁が低い。後にも書くが、最初からTTジョグというつもりで始めてはいけない。

・幅広い速度帯で走ることになるので、筋肉や呼吸循環器系に多様な刺激が入る。

・実際のレースで主導権を握る練習になる。

わかりやすいところで例えるなら、リディアードのランニングバイブルでいう”最高安定状態”にあたると思う。厳密なLTペースよりかはゆっくりだが、維持できるギリギリのペースである。ペースが速いので当然だが、ゆったりしたジョグよりも効率は良い。

ケニアに行ったことないのでイメージでしかないが、ケニア人がやるファルトレクやロングランで周りをガンガン振り落としていくスタイルに近いと思う。 

以上が説明だが、はっきり言って他の練習で代替可能だし、優先順位は低い練習である。ポイント練習をしっかりこなして、間の日は心地よいジョグで繋げばそれで十分である。

それでもやってみたい!という方がいれば、実施する際の注意点があるので読んで頂きたい。

1番大事なところだが、“TTジョグ”を予定に決して組み込んではいけない!仲間との競り合いや走っていて気持ち良くなる中で衝動的・本能的にペースを上げてしまう結果がTTジョグである。あらかじめペースを決めてしまったらそれはペース走やビルドアップという練習になってしまう。

周りを巻き込むなら、多少計画性に欠けていて負けん気が強い選手が良い。また、ポイント練習外で怪我をしては元も子もないので、怪我しにくい選手の方が良い。TTジョグは自発的参加しかあり得ない。

身体が動く夕方だとペースが上がりすぎてしまって”ジョグ”の範疇を逸脱するので、ペースが上がりづらい朝が良い。ポイント練習の入ってない朝練がベストである。

こんなところだろうか。

もしこれを機にTTジョグを取り入れて良い結果が出たら教えてください。あくまで自己責任でお願いします!

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