真っ赤なリップとピンヒール

真っ赤なリップは、ピンヒールよりも私の背筋を伸ばす。たぶん。ピンヒールなんて履いたことないのだけれど。

鏡に真っ赤なリップを塗った自分の顔が映るたび、顎を引いて、目をぱっちり見開いて、背筋が伸びる。真っ赤といっても、マットはまだ年齢的に早い気がして、シアーな、真っ赤。マットのザ・赤リップは、大人の特権だと思う。

最近は就活の予定がスケジュール帳に少しずつ増えている。一般的な大学生よりエントリーしている会社は少ないほうだとは思うけれど、それでも立て続けに入る就活の予定に少しだけテンションが下がる。

だから、私はリップを着替える。真っ黒なスーツにあえて赤色のリップをまとう。背筋が伸びて、自信をもてるように。面接会場に着いたら、やっぱり少しチキって優しいオレンジ色のリップに塗り替えるんだけどね。

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