たぶんしばらく忘れられない朝焼け

じめっとした、深い青が少しずつオレンジに侵食されていく。

深い、けれどうずうずとオレンジを待っているような青。

遠くのほうからオレンジが放射線状に伸びてきて、深い青と混じって紫のような色が生まれる。

深い青は少しずつ後退していって、わたしの前から消えようとしている。

あまりにも純粋なオレンジがわたしのほうへ伸びてくるから、なんだか怖くなって、まだかろうじて青に包まれた斜め後ろを見た。

深い青は、まだちゃんとそこにいた。

ふと下を覗くと、もう誰かが今日を始めようとしていて、どこからかジリリと音が鳴る。

隣で、きみがつぶやく。

「やっぱり朝は嫌いだ。」

思わずきみを見てしまって、わたしもおんなじこと考えてたって言おうとして、でもなんだか安っぽい言葉になるような気がして言えなかった。

おそるおそるオレンジをまた見つめてみて、それでもやっぱり純粋なオレンジが怖くなる。

目を細めて、でも目に焼き付けて。

たぶん、しばらく忘れられないあの朝焼け。

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