スマホで「ちゃんとした」落ち物パズルを作る

 個人ゲーム開発者の形と申します。配信中のゲームが全くダウンロードされず、経済的にも精神的にも死にそうなのでnoteに宣伝しにきました。「今日もダウンロード0」ってしんどいね。

 プシュプはデバイス1台で2人で遊べる落ち物パズルです。ぷよぷよのような対戦型の連鎖パズルをベースにしつつ、「ある程度狙いをつけて相手陣地を妨害できる」など様々な独自性を加えています。

 プシュプを紹介する前に、ちょっと落ち物パズル市場の現状を確認したいと思います。ひっそりと新作は出ているものの、テトリスとぷよぷよ以外ほぼ存在感がないというのが一般的な印象ではないでしょうか。古いジャンルだと感じる人が大半だと思います。
 かつてコンシューマで様々なゲームが豪華かつ巨大になっていく中、パズルゲームのようなシンプルなカテゴリは徐々に存在感を失っていきました。しかしスマートフォンの台頭により単純なゲームが再び脚光を浴び、パズルゲームが隆盛していることはご存知の方も多いはず。
 ところが落ち物パズルはスマホゲームの世界ではマイナーなまま。理由はいくつかあると思いますが、ほとんどの原因は操作性にあると考えていいでしょう。

 コンシューマなどで標準的だった「十字キーでブロックを左右に移動、ボタンで回転させて落とす」という操作方法は、スマホのタッチパネルと非常に相性が悪いです。左右にフリックして移動、タップして回転...などの入力では、正確で素早いレスポンスは期待できません。
 落ち物パズルはリズムが命です。テンポ良くブロックを置いていく感触と、次々とブロックを消すスピード感が中毒性を生み出します。単にパズル性を継承するだけでは落ち物パズルの本質は得られません。

 通常落ち物パズルでは複数のブロックが一つの塊になって落ちてきますが、プシュプでは1ブロックずつタップして置くようにしました。回転操作を省いたことで、リズムよく高速にブロックを配置できるようになっています。
 縦長の画面に合わせたフィールド構成など、あらゆる部分をスマートフォンに最適化しています。指一本でも本格的な落ち物パズルが楽しめることを体感していただければと。

 ちょっと余談になりますが、そもそも落ち物パズルではなぜブロックを回転させるのでしょうか。昔の状況に詳しくないので推測が入りますが、元祖となるテトリスがブロックを回してはめ込んでいくスタイルだったから、というのが主な理由だと考えられます。
 これに対し、後続の落ち物パズルは色分けされたブロックを振り分けていくスタイルが多いですから、理論上は1つずつブロックを置く(回転操作をなくす)ことも可能だったはずです。要はどの色をどこに置くかを考えるゲームなので。
 しかし十字キーやレバーでブロックが落ちる列を指定するには、何度か左右に連打してから落とす、という操作を頻繁に繰り返す必要があります。ブロックを1つずつ置いていく形式ではテンポが悪いはずです。複数のブロックをひと塊にして回転させながら落とす仕組みは、コンシューマやアーケードにおいては合理的だったことがわかります。

 しかしこれはあくまでボタン操作を前提にしたものです。スマホにはタッチパネルがあるのですから、落としたい列を直接タップすれば直感的だしテンポも速い。既存のやり方をそのまま持ち込む必要はありません。
 コンシューマで培われたゲームデザインを適切に落とし込むことができれば、スマホゲームの価値はもっと広がると考えています。スマホに落ち物パズルは合わないと感じていた方にぜひプシュプをおすすめしたいですね。

 ちなみにブロックを1つずつ置くスタイルにはとある問題があります。ブロックをきれいに分けて整理できるので、多少ゲームが単調化してしまうのです。
 ぷよぷよでもドクターマリオでもそうですが、ブロックが2つ1組になっていると様々な「揺らぎ」が生じます。不要な色が紛れ込んで連鎖が組みにくくなるなど、プレイヤーを揺さぶる要素になっている訳です。2つのブロックをいかに無駄なく処理していくか、これもパズル性の一種と考えられます。

 プシュプではブロックをきれいに振り分けやすくなっており、落ち物パズル初心者に優しい仕様とも言えます。その代わり対戦相手からの攻撃が加わると、一気にフィールドが揺らぐようになっています。
 敵陣でブロックが消されると、自陣の同じ列にお邪魔ブロックが下から押し込まれます。これによって積み上げたブロックがずれるので、簡単に安定した連鎖を組むことはできません。お互いの陣地に直接干渉し合う駆け引きがこのゲームの醍醐味です。
 単に王道の落ち物パズルを継承するだけでなく、プシュプならではの奥深いゲーム性を提案しています。スマホに合わせて再構築することで、落ち物パズルの価値が再認識されると期待したいところです。

プシュプ(App Store

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