娘のポケモンのプレイで大事なことに気付かされた話

noteで記事を書くのは初めてなので、乱文乱筆失礼いたします。

約2年前。子供にポケモンソードを買い与え、私自身も自分のアカウントでポケモンを始めた。
ソードまで一切ポケモンを触ったことがなく、タイプ相性もろくにわからないまま始めたポケモン。
ネップリで相性表を印刷し、ラミネート加工してテレビボードに貼り付けるようになるまで、そうは時間がかからなかった。
20年以上続くゲームの底力というか、ずっと支持される理由が良くわかる。いいゲームだな。というのが最初の感想だった。
ただ、この時点ではいいゲームリストの一つ。“続編出て評判良かったら買おうかな”くらいの位置づけだったと思う。

早々にチャンピオンを攻略し、DLCを購入してダイマックスアドベンチャーに明け暮れていた頃、やっとひらがなが読めるようになってきた娘が、『私もやりたい』と言いだした。
娘のニンテンドーアカウントをつくり、プレイを開始してすぐの最初のポケモン選び。可愛さ重視でサルノリを選んだのを見てほくそ笑んだ私の心は汚れていただろうか。
今思えば、この時点で私と娘のゲームへの向き合い方は大きく違っていたのだった。

それから数ヶ月がたった。

娘はテキストの消化や理解力に難があり、なかなか攻略が進んでいないようだった。
まだゴリランダーショックにすら辿り着かない。
そして、いつも口癖のように、『お金がない!』と呟いていた。
私がプレイしていた時は、お金もアイテムもどんどん貯まったはず。
そう思い、娘のデータを覗くと、確かに異様に金が少ない。それどころか、アイテムも異様に少ない。金目のものはあらかた売りに出され、技レコードすらほぼ持っていない。
どんなプレイをしたらこうなるんだ……?と首を傾げた。

次の日、娘がポケモンを始めたので様子を見ることにした。
「いつもどおりプレイしてね」と声を掛けると、ゲームを始めてすぐに街の美容室に行って髪型とメイクを弄りはじめた。
「何やってるの?」と聞くと『おしゃれ』とのこと。髪型と髪色を変え、リップを気分に合わせて塗ると、4,000円。
その後、慣れた足取りでブティックに向かう娘。全身をコーディネートし始め、『お金がない!』と呟く。結局、持っていた服を組み合わせて今日の気分にあった格好に着替えると、新しく買った靴下(1,000円位)を履き、やっと冒険へ。

この時点で私は娘の金欠の原因に気付いていた。娘は大量の服を所持していて、すでに無限とも思える服の組み合わせができるにも関わらず、それでは飽き足らず、更に一つ靴下を買ったのだ。
靴下を買うとき、躊躇した素振りは無かった。

さて。この日はどうやら新たな街に行くことにしたようだった。
道中のポケモンを可愛いか可愛くないかで選別しつつ、無駄に3回もカレーを作りつつ、新しい街にたどり着く。
新しい街では、まずは街中練り歩いてブティック探しを始める。
そして、新しい服やバッグを見つけるとあーでもないこーでもないと吟味が始まり、冒険はなかなか進まない。
少ないお金をやりくりし、どうにかその街に相応しい格好が整うと、やっとジムへ向かう。

ところで、ソードのジムでは、偶にジムリーダーとの対戦前にその街のホテルで一泊する演出がある。
娘は、一泊した翌朝、当然のように美容室に向かい、その後はもちろんブティックでコーディネート。
ジムリーダー戦ではどうせユニフォームを着ることになるのに。

娘のプレイを見て、彼女はポケモンソードの世界で“ちゃんと”生きようとしているんだな。ということを理解した。
朝起きて、身嗜みを整えて、オシャレをして出掛け、できるだけ毎日なにか新しいアイテムを身に着けて、可愛いポケモンを仲間にし、みんなでカレーを囲む。
彼女にとっては、それが当たり前で、楽しいポケモンだったのだ。

翻って、新しい街につくと一着だけおざなりに服を買い、次の街まで着たきり雀。選ぶポケモンも技の多さとタイプ相性が全てで、レベル上げとジムリーダー戦を繰り返すだけだった自分のプレイが、酷く空虚に思えてしまった。

大人には大人の楽しみ方がある。そう嘯いて、羨ましさを押し殺し、彼女が本当にバトルに勝てない時だけ助けようと心に誓った。

そしてポケモンは、私の中でほろ苦い思い出とともに、“必ず発売日に買ってあげるゲーム”に格上げされたのでした。

アルセウスを経て(アルセウスは彼女にとっては“捕まえたくない可愛くないポケモンも揃えないといけない”という試練の作品だった。割愛。)先日、ポケモンバイオレットを購入。

買ってから知ったのだが、今作は残念ながら制服から着替えが出来無い。
靴下や帽子は比較的安く買える。
バッグだけは異様に高く、50,000円もするのでしばらくは手が出ない。
彼女の楽しみは少し減ってしまったかもしれないが、しばらくは『お金がない!』を聞かずに済みそう。

そう思っていた時期が私にもありました。

『お金がない!』
「え、何で??……!!!バッグ買った!?」

彼女のオシャレ欲には果ても我慢もないのだ。

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