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YouTuberにレビューされまくるSONY WF-1000XM4。率直レビュー

6/25に発売されるソニーの新作完全ワイヤレスイヤホン。物凄く話題の製品ですね。
数多くのYouTuberにも先行レビューされており、お世辞にも有名でない方も多数いることを考えると、、、かなりの数のサンプルが配られたんでしょう。

さて、私もすごく気になっていたので、いつもお世話になっている某イヤホン専門店で試聴してまいりました。

さあ、店舗へ。

はやる気持ちを抑えながら、まずはしっかりと試聴するための下準備。
道すがらヘッドホンコネクトというアプリをインストールしておきます。多機能化しているTWS界ではアプリが当たり前になってきていますが、私はあくまでオーディオとしての音質しか興味がありません。
じゃあなぜアプリまで入れるか、といえば、イコライザーや音質補強機能など、音質に関わる設定がデフォルトでいじられてることもあるから。
※以前試聴した、同じくソニーのヘッドホンwh-1000xm4の時は初めて繋いだ時点で低音寄りのイコライザー設定になっていました。(これがソニーによるものなのか、前の人の設定が残っていたのかは分かりません)

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さて、お店の試聴コーナー。
まさに一番の目玉商品の位置にどーんと座られています。ひっきりなしに試聴客がいて、興味ないよ~という顔をしながらの順番伺いも覚悟していました。
ただ、平日だったことで、誰も聴いておらず。ラッキー。

やっぱり隣にならんでいた前作xm3に比べると、まずケースの佇まいからしてカッコいい。
ケースから外すと新開発のフォーム式イヤーピース。
試聴機はベージュっぽいほうなのですが、ちょっと黒ずんでます。これは素材的にしょうがないのだと思いますが、試聴機としてはちょっと嫌ですね。また、私のように耳垢が湿るタイプの人にとっては、耐久性も心配です。まあ、純正のイヤーピースを使わなければいいだけですが。
※試聴する前と後にしっかりと拭いております。念のため、、、

早速つないでみます。両耳のセンサー長押し。接続可能のアナウンスが流れ、スムーズに接続。
フィット感は普通。普段、Falcon2(かなり小さくて奥まで入る)を使ってるので、それなりに大きいxm4はイヤーピースを含めて微調整は必要かなという感じ。
低音が抜けないレベルにはフィットしているので問題なし。

試聴開始。


宇多田ヒカルのSAKURAドロップスをかけてみる。
あっ、LDACにしてないわ(今作の売りで、個人的に一番気になるところ)、と気付いて、Galaxyの設定から高音質コーデックを選択。アプリ画面でもLDACとなっていることを確認。
※各所のレビューでは、AACとLDACを比較してどうのとあるが、私は最高設定の音質しか興味がないので比較しない

宇多田ヒカルのビブラートが美しい。繊細になったというのは嘘ではないようだ。
しかし、ハッとするような音質ではない。
続いて、低音の響きで確認。King GnuのThe hall.
低音も良い。深く、ズーンとくるし、この曲の複雑な響きかたがわかる。低音の質も良くなったというのは嘘ではないようだ。
前作xm3やヘッドホンのxm3,xm4含め、過去聴いてきたソニーの音質は全体的に低音過多で、パキっとしたメリハリはあるが、複雑さと繊細さを欠いていた。
低音はとてもよくなったが、その後にくるボーカルがいまいち。人間の耳は、声の帯域が一番繊細に聞き分けられるとおもうが、ここの響きが埋もれがちだったり、他の音とごちゃごちゃしてしまうと、感動しきれない。

その他、セリーヌ・ディオン、手嶌葵などでも試聴。
やはり手嶌葵のウィスパーボイスの再現は難易度が高い。
LDACのおかげで、情報量はあると思うのだが、粒状感があって、滑らかさや艶がない。
この辺りはコーデックがよければ良いということではなく、アコースティックな部分の問題だと思う。
また、頭のなかにスタジオが展開されるような立体感もない。こういう空間表現は日本のメーカー共通で苦手なところとも思う。

なお、これらの傾向はヘッドホンのwh-1000xm4でも同じ。ヘッドホンのほうが音像が大きくなる分、上記の粒状感が目立ってしまい、購入候補から外した経緯があった。
※いま、ワイヤレスヘッドホンでの購入候補はB&WのPX7であるが、季節的に暑いので踏みとどまっている。暑さと価格が落ち着いた頃に、その時のラインナップで再検討したい。

さて、ワイヤレスイヤホンに話を戻すと、1000xm4は音質的には選択肢には入らない状況。
音を聴く気持ちよさでいえば、使用中のFalcon2のほうが、艶、張りのある響きなど楽しみが勝っている。
(あくまで、価格なりの分をわきまえた音ではあるが)

結論。


やはり私はソニーの音が好きではないのだ、という結論になってしまった。デジタルのテクノロジーは優れているが、ピュアオーディオ方向の音になれている耳には、アコースティックな部分が合ってないのだと思う。

ではなにが良い音か?
ついでに試聴したのは、Master & DynamicのMW08。
前作MW07+もそうだったが、中高音が非常に滑らかで、重心の低い低音とのバランスも良い。
ただ、4万円と高価なことを考えると、他の選択肢が浮かんでしまうことも確か。
この前コストコで、MW07+が二万円台という安価で売っていたが、それくらいになれば間違いなくこっちかなあ。

他の選択肢といったのは、音質重視でワイヤレスにするなら、有線イヤホン+Bluetoothレシーバー(Fiio BTR5など)のほうが良いから。ワイヤレスと言えるかがあれですけど。笑

完全ワイヤレスじゃないといけないシーンは、ジムとかサウナとか。そういうときは安いFalcon2は気兼ねなく使える。
※たぶんサウナは温度的にNGだと思いますが個人の責任範囲でやっております。

まあでも、殆どの人はwf-1000xm4が十分に音がいいと感じるだろうし、デジタルガジェットとしての機能面をみても万能機なので、買って損はないでしょう。
と付け加えておきます。

編集後記:YouTuberレビューの信憑性

冒頭にも書いたとおり、wf-1000xm4はかなりのサンプル配布や評価依頼がされているらしく、発売前にレビュー動画が溢れている。
昨今のマーケティングでは、すでにメジャーな手法であり、ソニーは特に大きく舵を切ったのだろう。
企業マーケティングとして必然の努力だと思う。そして、大きな期待どおり、wf-1000xm4の初回予約分は早くも売り切れたようだ。

しかし、これらレビュー動画は、あくまでマーケティング戦略のひとつなので、企業側の依頼または協力によって初めて成立することを、割り引かないといけない。

「好きにいって良いと言われたので、」「ソニーによる事前チェックなし」と前置きしているYouTuberもいるし、他のYouTuberも、公平性が出るように悪いところを少しは付け加えていたりする。

ただ、協力して提供してもらったものを根本から気に入らないと言えるだろうか?単なるモノの提供のみだとしてもそうだし、そもそも宣伝依頼との区別も動画をみるだけでは分からないことが多い。
力関係は圧倒的に企業側にあり、やはりYouTuberとはスポンサーに声をかけられるのが目標のひとつなので、忖度ゼロなどあり得ないのである。
ソニーがお金で高評価を買っているわけではなく、そういう構造ゆえ、似たり寄ったりの誉め言葉になってしまう。

これは、単に再生回数での広告収入では、数十万回再生されても大した実入りにならないが、スポンサー動画では数千回程度でも数十万円~の収入になるようなYouTubeの構造も影響しているかと。
※あくまで個人の知り得る情報からの推測です。

とはいえ、
いわゆる案件動画で評価を落とすYouTuberも増えているし、あからさまなステマは企業側にもマイナスなので、そのあたりでどう公平性を担保しつつ、企業のマーケティング予算でのビジネス性をあげていけるか、せめぎあいの時期なのだろう。

個人的には、あまり企業論理がいきすぎるとテレビと変わらなくなってしまうので、ぜひ運営側には正直者が評価されるようなバランスを期待したいところである。

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