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人間1週目なので許してほしい

見切り発車で浅はかだ。
ご飯を作るときに、レシピを見ても大切なことを最初に確認できない。作っている途中で「30分煮込みます」という情報を見て「30分待たないといけないの!? あと5分くらいで出来ると思ってたのに!」と絶望することがある。作る前に確認したのにも関わらず、全然読めていないのだ。

この前は、「ちゃんとしっかり確認しながら作ろう」を思い、きちんと1つひとつレシピを見ながら作っていたら2時間が経っていた。
他にも、材料を用意しすぎたり、味付けを濃くしすぎたりするし、準備万端!と思って進めていたら急に破綻してパニックになることもある。

なんというか、はじめて行うことに対して、要領が悪い。

けど、徐々に慣れていけばきちんとできるようになる。何も考えずに行動できるし、似たことであれば少しの応用も対応できる。失敗から学び、経験から予測が可能になる。
とはいえ、料理だけではなく、多くのことは見切り発車で始まるし、だいたい失敗する。考えなしで突き進んでしまうことがある。だから、作業に時間が二倍かかってしまうこともあるし、無駄にすることも多い。

わたしの恋人は真逆で、レシピをパパッ!と見ただけで大事なことがわかる。途中で抜けている手順を見つけても、すぐに軌道修正ができる。恋人がてきぱきと作業しているのを見て、「すごいね、わたしはいつも失敗しちゃう」と落ち込んでいると、彼はいつも「君はほら、まだ人間一週目だから」と言う。

彼は同い年なのにやたらと落ち着いていて、見た目も5歳くらい上に見える。知らない知識をたくさん持っていて、「そんなところにも引き出しが!?」と思う。やけに悟ったことも言うし、なんというか、同い年でそんな感じになる?と毎回思うのだ。

そんなようなことを言うと、「ほら俺は、人間四週目だからさ。今まで業が深すぎて成仏できなかったんだろうね。現世ではちゃんと死ねるといいな」と冗談で返してくれる。『100万回生きたねこ』みたいだな。

でもこの「人間一週目だから」という言い訳はすごく便利だし、安心する。変に「落ち着きがないから」「集中力がないから」と言われるよりは、「まだ現世に慣れてないんだね~人間世界が初めてだから仕方ないよね~27年しか経ってないし、むしろ27年でこれだけできるならすごいね~」という気持ちになるし、こちらとしても「初心者なので!」と胸を張れる。失敗しても、落ち込まなくて済む。

ちなみに、恋人曰く寺田心くんも人間4周目らしい。輪廻の途中で「あ、お久しぶりです~!またお会いしましたね~!」とあいさつした、とか言っていた。いいな、寺田心くんと輪廻の途中であいさつしたいわ。けど、人間は1週で十分だな。

応援があると人は強くなる。例外なくわたしもそのはずです。