銀座ルール0

銀座を守る銀座のルール

 お気づきだろうか?
銀座には超高層ビルが見当たらないことに。
東京タワーやスカイツリー等、高い所から銀座を見ようとすると超高層ビルが無いので実は少し凹んで見える。
そして、様々な表情の建物が建ち並ぶのに統一感があることに。
この統一感には、景観を守るためにビルの高さに制限があることに影響している。

 話しはちょうど100年前まで遡る。
1919年、都市計画法と市街地建築物法(旧建築基準法)が日本で初めて公布され、 銀座の建物は最高の高さが31メートルに制限されたのだ。
1932年に建てられた和光ビルの高さは屋上までの高さ30.30mときちんと基準に則って建てられている。
(時計塔までの高さを入れると39.39mなのだが、時計塔は工作物として制限からは除外されていたのだろう。)

(Source:WAKO)


 そして今現在の銀座には、1998年に中央区に働きかけ特別に承認してもらった地域ルール、「銀座ルール」がある。


銀座ルールとは、
商業床あるいは住宅等、地域による特性を生かした用途を一定以上いれた建築物について、道路幅員に応じて最高高さ56メートル(銀座通り、晴海通り、西銀座通り、昭和通り)とする。
また、屋上工作物を設ける場合の最高高さは、建築物の高さ制限に10メートルを加えたものとした。

この銀座ルールの適用第一号となったのは銀座資生堂ビルだった。
2000年12月に竣工したこのビルは、高さ55mと銀座ルールに則り建てられている。

(Source:FASHION PRESS)

 そもそもこの銀座ルールがなぜ決められたのか。
旧松塚屋の再会開発で銀座に200メートル近い超高層ビルを建てる計画が起こり、その超高層ビルが銀座らしさを壊すものとなってしまうのではないか、閉鎖的な街になってしまうのではないかという懸念からだった。
2017年に開業したGINZA SIXも本来であればより高さを追求した建物にしたかったようだが、銀座ルールに則り高さは56mに抑えられている。
他にも、銀座のランドマークとも言える銀座和光のある4丁目交差点の角にある建物(和光ビル、三越、銀座プレイス、三愛ドリームセンター)は高さが銀座ルールに則っているため、景観に統一感を感じることができる。

 しかし、銀座ルールには例外がある。
銀座通りを中心とした時、昭和通りより東では、文化等の維持・継承に寄与する・発展に貢献する建物に限り、高さの例外が認められという内容だ。
その第1号が銀座歌舞伎座である。
因みに、歌舞伎座タワーは地上29階・地下4階で高さは145mある。

(Source:FASHION HEADLINE)

 また、銀座で開発を始める際に「銀座デザイン協議会」と建物のデザイン等を協議してからでないと開発が進められない銀座デザインルールもある。
銀座らしさを損なわないためにその協議は行われ、景観が守られている。
これも、中央区からしっかり認められたルールとなっている。
 他にも、看板等の屋外広告の出し方にもルールがあり、銀座にそぐわない広告や宣伝方法は改めてもらい銀座らしさを優先してもらうことも目的としている。
近年、増えてきているデジタルサイネージという広告の手法にも規制があり、特に交差点から見える風景にデジタルサイネージを出すことを避けている。
銀座にふさわしくない・好ましくないと考えられる内容として、以下の内容が挙げられている。


・ 動きが激しいもの、点滅が早いもの
・ 映像の輝度が高く、明るすぎるもの
・ テレビコマーシャルのような、他媒体と同じ表現のもの
・ 商品やサービスの内容、価格などの具体的表現
・ 広告スポンサーを多数入れ、さまざまな情報を流すこと
                             等がある。


実際に、三愛ドリームセンター(LE CAFE DOUTORの上)にあった看板を撤去してもらった実例もある。

(Source:銀座街づくり会議・銀座デザイン協議会)

 銀座の景観を守る動きは関東大震災以前からあったようだ。
銀座という街全体で、銀座というブランドを守る伝統は変わらず、より良いものへと昇華するため、地区計画「銀座ルール」の改正や、協議型まちづくりの検討を行うための銀座街づくり会議が2004年に設立された。
また、2006年には建物や広告の色・かたち・デザインなどが、「銀座らしさを損なうものでないかどうか」「銀座にふさわしくないものでないかどうか」「銀座のまちをよりよくするものであるかどうか」を、開発者と街の人たちとで協議するための銀座デザイン協議会が発足した。


 こうした、銀座で商売を営む(働く)人や銀座に足を運ぶ人達が気持ちよく銀座を楽しんでもらうために必要なものが銀座のルールとして、日々銀座という街(ブランド)を昇華させてくれているのだろう。

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