旧き良き時代のパリジェンヌたち

伝説のヌード写真『旧き良き時代のパリジェンヌたち』を見て

 先日、国立新美術館に21st DOMANI・明日展を見に訪れた際にふと気になって手にした1枚のフライヤー。
詳細を見てみると、1920年頃のヌード写真の展示で場所は銀座。
これは見に行かなくてはと思い、早速行ってきた。

 場所は、銀座4丁目に位置するArt Gallery M84
歌舞伎座のすぐ近くで近隣にある喫茶店に後ろ髪引かれながらも我慢してギャラリーを目指す。

 中に入ると1920年代前後に撮影されたビンテージの銀塩写真、50点弱が展示されていた。
日本では初めて公開されたものらしく、当時の女性の裸体(ヌード)が惜しげも無く(中には敢えて服を着用しているものもある)撮られた写真が並べられていた。
特別スタイルの良い女性がいるわけではないが(当時と現代の価値観の違いかもしれない)、絵画で見るような古典的なポーズをとる女性や当時の流行を交えたスタイリングの中(タバコを吹かしたり、自動車と一緒だったり)で撮影されたものだったり様々な作品群がそこにはあった。
約30分程観覧して気になる写真は既にソールドになってしまっていて、もっと早く来ればよかったと少し後悔も。

(Legendary nude photos © Parisienne in good old days-A / M84)


              【展示概要】

撮影した写真家が選んだモデルは、女としての魅力に満ちあふれており、娼婦の家お抱えの女、月末の小遣い銭を稼ぐ為のポーズをとるお針子、アーテストの情婦。
これらの女達は控え目ながらエロチズムを滲ませ、当時厳しかった検閲を相手にかくれんぼ遊びをするが如き格好でまろやかな体付きを顧客に披露した約100年前のヌード写真を日本で初めて展示します。
是非お楽しみ頂けたらとおもいます。
そのままハガキとして送られることの無かった女性ヌードのポストカードも展示します。
もし使用するとしたら、そっと封筒に差し込み隠して郵送するのが常だったとのこと。
こうして世界中に飛び散った可愛い女たちのカードは、パリが世界の亨楽の都として登場する20世紀初頭のベル・エボック(旧き良き時代)及び1920年頃のアンネ・フォル(無軌道時代)の歓喜を物語るものです。
ある有名な*メゾン・ド・フローズ*でお客を増やす為に、お抱えの娼婦達に個々の特徴を暗示する様な魅惑的なポーズでポートレートを撮らせ、お客に直接渡すことを思い付いたのが女性ヌードを撮影したポストカードの始まりだと言う伝説。
                                                (Art Gallery M84 展示概要より引用)

 展示概要を見て注目したのは検閲を相手にかくれんぼというフレーズ。
このフレーズから1920年代の高貴な実験と揶揄された禁酒法を思い出してしまった。
 当時のヌード写真について調べてみると、ヌード写真は禁酒法ほど歴史的に抑圧されたものではないが、道徳的観点から特定の人物に向けてのヌードとなっていたのだろう。
ちょうどこの頃はカメラが発売されて間もなく、カメラとヌード写真の歴史は同時期とも言える。
ヌード写真と言っても、単にポルノ(性的興奮を作用するもの)ではなく、あくまでアートとして文学的・芸術的な評価を重要視していたのだろう。
(中には、ヌード写真だけではなく性行為の最中のものやレズビアンのような行為のものもあったようだ。)

 今日でもアート的観点でのヌード写真は多数生まれている。
私自身も縁が合り何度か様々なヌード写真を撮っている作家さんの個展に足を運ばせてもらったり、撮影直後発表前の写真を拝見させて頂いたこともある。
今回は、見に行った展示は写真だったが絵画や彫刻ではもっと古くからヌード作品が残っている。
人間の本能的部分からも、こういった文化は受け継がれてきているのだろう。


伝説のヌード写真『旧き良き時代のパリジェンヌたち』
主催:Art Gallery M84
住所:東京都中央区銀座4-11-3 ウインド銀座ビル5F
電話:03-3248-8454
会期:2019年2月4日(月) ~ 3月2日(土) ※日曜休館日
   10:30~18:30(最終日17:00まで)
入場料 : 700円
WEB:http://artgallery-m84.com/?page\_id=8

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