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人気講師ノート13 ランバートベールの法則について...溶媒とセル(容器)もね

前回の吸光度・蛍光度において,ランバートの法則は必ず学びます。挿入画像は,メロンソーダですよね。

正確なデータを得るためには,溶媒とセルとランバートベールの法則が
大事になってきます。

吸光度スペクトルについて

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紫外可視吸光高度計で測定した吸収スペクトルを示した。「スペクトル」とは,各波長の光に対して物質がどの程度吸収するかをグラフにしたものです。スペクトルは,横軸が波長(Wavenmber/nm),縦軸が吸光度(Absorabance)や透過率(Transmittance)を取ります。

吸光光度計は,様々な製品が売られていますが,横軸としては200-900nmあるいは350-900nmとなります。紫外線(200-350nm)も測定したいのか否かによって選択します。※値段も結構違ってきますが・・・・

溶媒について

固体でも測定することはありますが,たいていは溶媒に溶かした溶液で測定を行います。溶かす溶媒には専用のもの(分光測定用)などがありますが,それよりも大事なことは

溶媒は紫外線に吸収をもっている!

ということを忘れがちです。溶媒としては,水もよく用いられますが,当然水に対して難溶性の物質もあり,様々な溶媒が用いられます。この様々な溶媒は目に見えて「透明」ですが,あくまで可視領域(350-800nm)に吸収をもたないだけで,紫外領域には吸収があります。

溶媒の測定限界の波長を列挙します。
参考:分光測定入門(日本分光学会 測定法シリーズ)

水:200-1000nm
メタノール・エタノール・シクロヘキサン・ヘプタン:210-1000nm
オクタン・エーテル・ジオキサン:215-1000nm
アセトニトリル・ギ酸メチル・グリセリン:220nm
クロロホルム・酢酸・硫酸・リン酸:250nm
四塩化炭素・酢酸エチル:270nm
ベンゼン・トルエン:280nm
リグロイン・ピリジン:310nm
アセトン・アミノアルコール・セロソルプ:330nm

例えば,アルコール系は酸素によって酸化されアルデヒドが形成されると220nm付近に吸収ピークが表れるので,溶媒の取り扱いには注意が必要だ。

セル(容器)について

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上の写真が溶液を入れるセル(容器)である。まー,一般の方は見ないですよね。セルの材質には,石英,ガラス,使い捨てプラスチックと様々です。
※特に値段が全く違います。1個1万円から100円までの差があるのです!

このセルも「透明」なんですけど,測定波長に限界があります。
紫外領域に吸収があるってことです。

SHIMADZUさんのHPにあったので引用しますと,セルの材質による測定波長範囲は
ガラスセル:320-1000nm
石英セル(Sセル):190-1000nm
石英セル(IRセル):220-1000nm
使い捨てセル(PS製):340-750nm
使い捨てセル(PMMA製):285-750nm

ですね。200-1000nmの測定範囲で,使い捨てセルを用いると,容器(セル)の吸収波長も測定することになり,議論を間違えることがあります。

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気を付けましょう。

というのも,研究室に配属後によくある失敗です。やはり、授業で学んでも,いざ!手を動かすときには忘れてしまいますよね。

ランバートベールの法則は次回にします。

本文は以上です。

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