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かたりつづける物語

わが町、熊本県人吉市にある国宝青井阿蘇神社は、平安時代初期の大同元年(806年)9月9日に創建された神社で、その鎮座日(明治末年からは新暦10月9日)を奉祝し、その日を中心に古来より毎年続けられた例大祭は通称「おくんち祭」と呼ばれ親しまれてきました。2008年には国宝に指定。九州内の神社では大分県宇佐八幡宮本殿に次いで2件目となります。

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令和2年7月豪雨の甚大な被害から1年。まだまだ復旧は道半ばであり、禊橋もまだ無残な姿を残している状況ですが、復旧に思いを馳せ、久しぶりに国宝青井阿蘇神社の福川宮司がおくんち祭平成30年の歩みを記した「かたりつづける物語」を手に取りました。そこには、

地域住民の心の拠りどころである神社、そこで行われる祭りは、取り組み次第では『古くからの共同体の復活』や『未来に向けた新しいコミュニティの開拓』を可能にし、地域を持続可能にする要素を持っている。

と記載されていました。さらには、

要するに、「この漂える国をつくり固めなせ」との神代からの命題『修理固成(しゅりこせい)』と、現代、国を挙げての取り組みである「地方創生」、「美しく誇りある国・日本」の実現は、神社・祭り、そこで伝承され、継承されてきた「地域特有の『歴史』、『伝統』、『文化』の保つ力」が、その一翼を担っていると断言できるのではないだろうか。

まさに今「漂える国日本」にとって、必要なものは「古くからの共同体の復活、未来へ向けた新しいコミュニティーづくり」にあるのではないだろうか。もちろん古いものがそのまま今に活かせるわけではなく、アップデートは必要であるが、都会に育ち「アイデンティティーが薄い」若者が地方で温もりを感じ取ってくれるのはその心地よさに気づいているからではないだろうか。

今一度、地域のアイデンティティーを牽引した『歴史』、『伝統』、『文化』を見つめ直し、水害からの復興まちづくりに活かすべきだと感じています。

この地域を名も無き先代たちが「かたりつづけて」きたことで今日があるように。

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