PRガチ

すりこみは、ずっと消えないものだから。

 忘れられない恩師っていますよね。ある人にとっては学校の先生。またある人にとっては部活の先輩。自分の理想を更新し続けて、いつまでも模範であるような存在です。今回はそんな人について書いてみたいと思います。

優しい人が恩師になるとは限らない

 ぼくにとっての恩師は、二人います。新卒で入社したPRエージェンシー時代のメンターです。一人は仮配属時の元リクルート系の営業マン。もう一人は本配属時の元雑誌編集者。二人とも全く異なるアプローチで仕事をしている人でしたが、共通しているのはとにかく厳しかったこと。毎日のように拙い仕事を詰められて、泣きたくなるほどでした。まあ、実際たまに泣いていたのだけど…
 一人目のメンターはホスピタリティの塊で、とにかくクライアントへの気づかいが図抜けていました。それゆえ、納品物のexcelリストやプレスリリースのwordなどの細部まで、とにかくこだわる。ニートをこじらせて入社した自分は指摘されるたびに「そこまで気にしなくてもいいじゃないか」という反発を覚えながらも、言われた通りに直す日々。でも気づくと、それが自分の中の当たり前になってくるんですよね。
 二人目のメンターは情緒的コミュニケーションの達人で、代理店の担当者やメディア編集者とのウェットなやりとりで仕事を円滑にしていく様を目の当たりにしました。この辺りはさすが元編集者ならではといったところで、ぼくが人間関係への想像力に欠けた振る舞いをしたときにはよく雷を落とされました。それも一度や二度のことではなく、胃が痛くなる毎日。たとえばクライアントへ掲載誌を送ること一つとっても、付箋の貼り方や手書きのメッセージの添え方など、とにかく気が抜けませんでした。でもこれを真似し続けると、どんどん周りの人とのコミュニケーションがうまくいくように。
 いま振り返ると、自分に厳しかった人にこそ感謝したくなるんです。なぜなら、自分の確固たる仕事の基準をつくってくれたから。もし優しくてミスにも寛容で仕事の基準もゆるいメンターがついていたら、とんでもなく低クオリティな仕事で満足する自分になっていただろうとゾッとします。

すりこみは、動物だけのものではない

 ひよこなどの動物には「すりこみ」という学習現象の一種があるといいます。特定の物事がごく短時間で覚え込まれ、それが長時間持続すること。この「すりこみ」は、人間にもあるのだと思います。動物との違いは、より後天的なもので、勉強や仕事など大事な場面にこそ発揮されるところ。先述の二人のメンターから与えてもらったのは、まさにこの「すりこみ」に他なりません。仕事のやり方のクセはなかなか抜けない。そういう意味では最初に誰が上司につくかの運次第かもしれません。
 この「すりこみ」の大切さを誰よりも実感しているからこそ、今度は自分が基準を示す番だと思っています。PRというスキルだけでなく、人とのコミュニケーションや、雑務の細部に宿る美意識まで。決して怒鳴ったりはしません(今までも感情的に怒ったことはないです)が、仕事に求める基準は我ながら厳しいです。

本気の人にはとことん向き合います

 そんなわけで、下記のイベントを開催します。

 自分のほか、尊敬するPRパーソン二人と一緒に学生アシスタントを募集します。そのために、ざっくばらんにPRのことや仕事観などお話できる機会をつくりました。じっくり深くお話したいため上限6名(超える場合は志望動機などに鑑みて選考)ですが、ぜひお気軽にご応募いただけたらと思います。学生時代の貴重な時間を費やしてもらうだけに、とことん真剣に向き合います。どんな方とご一緒できるか、今から楽しみで仕方ありません。まだ見ぬ誰かにとって、いい出会いになりますように。

サポートはプロテイン代に充てさせていただきます。