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哲学とスタイル

今日、世界中で造られるワインたち。
生産者にはそれぞれのストーリーと哲学、そして生活のスタイルがある。

消費者はその哲学やスタイルに共感して、またはそんなことは露知らず、
ワインを飲んではああでもないこうでもないと話に興じる。

個人的にはそれでいいと思ってるしスノッブなウンチクを垂れ流すよりは
はるかに健全なワインの楽しみ方だと信じてやまない。

それでも造り手の哲学やスタイルを理解して飲んだ方が良いワインもある。
今回はオーストリア、シュタイヤーマルクからフランツ・シュトロマイヤー。

この造り手のワインをはじめて飲んだ時の衝撃の大きさはとんでもなかった。
凝縮感と例の上手くいった還元に顕れるなんともパキッとした旨み。
それが白、ロゼ、赤とタイプ問わずすべてのキュヴェから感じられた。
間違いない、コイツは天才が造ったワインだと心から震えたのを覚えている。

最近飲んだロゼのゼクトがまたどうしようもなく旨かった。
かのジャック・セロスのロゼとも比較されたプロのコメントも目にしたが
セロスのそれとは飲んだ時に後ろに見える景色が全く異なる。
よりプリミティヴで、かつ旨みと強烈な酸のバランスがたまらない。
大好物のイワシの梅生姜煮と合わせたがコスト以上に贅沢な晩酌となった。

生産者たちは様々な哲学やスタイルをワインで表現し続けている。
そのすべてを理解することは難しい、というより不可能だろう。
それでも彼らの考えに思いを馳せながら食事とワインを楽しむことは
すべてのワインラヴァ—にとって幸せなことなのだ。

想像力がワインをさらに美味しくする。これを試さない手はない。


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