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井の中の蛙じゃつまらない

ここでも何度か書いてるし、あらゆる場所で公言していることだが
客観的に見て現在の日本のワインマーケットは非常に優れていると思う。
情熱溢れる業界の先人たちのおかげでいまや世界でもトップレベルと言える。

それでもやはり、世界は広い。
まだまだ日本に入ってきていない知られざる産地やワインが存在する。
今回はそんな中からひとつ。
デンマークのヴェセボ・ヴィンからソラリス2012。

ソムリエとして仕事をし始めたころ、海外のサイトである記事を発見した。
デンマークがワイン産地としてEUに認められたという話だったと思う。
当時デンマークはおろかノルディックに足を踏み入れたことがなかったので
それが実際のところどれだけ大きな出来事なのかピンとこない自分がいた。

はっきりとデンマークのワインの存在とその価値を認識したのはその数年後。
場所は休みを利用して訪れたデンマークのコペンハーゲンだった。

今やレストラン好きなら誰もが知る最高峰レストランのワインリスト。
その中ほどにdomestic(国産)のページがあり数種のワインが記載されていた。
ゴリゴリのナチュラルワイン攻めで知られるレストランだったので
当時の僕はちょっぴり怯んだが(笑)、せっかくなのでとオーダーしてみた。

うっすら濁りを感じる淡い色調で、八朔を思わせる柑橘の香りが支配的。
この時点で時々ナチュラルワインに感じる危うさは微塵もなくご機嫌に。
強烈な酸味と低いアルコールはブドウが育った環境を如実に物語っていた。

価格を考えると概ね納得のいくクオリティのワインだったことに軽い驚き。
生産量の少なさから当時はほとんど国内で消費されるという話だったが
10年近く経ったある日、意外な場所でこのワインと再会を果たすこととなる。

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その日、レストランでワインリストを眺めていると見覚えのある名前が。
懐かしさとワクワク感を押し殺してオーダーするとソムリエもニッコリ。
この時飲んだ最新ヴィンテージのワインは以前より洗練されて美味しかった。

こんなワインを輸入してるなんて凄いなと感銘を受けたものである。
時は2015年、場所は香港。
初めて訪れたときはマーケットとしてまだまだこれからだなと感じた彼の地。
気が付けばその足音はすぐ背後まで迫ってきていた。

日本のワインマーケットは素晴らしい。
ただ更なる高みを目指すなら先輩たちが築いた現状に満足するのではなく
もっと外に目を向けて自分自身で考え、動くことが求められる。

世界の変化に柔軟に対応できてこそ真のプロフェッショナルと言えるのだ。


追記
これを書いてる最中に日本がシャンパーニュ輸入量でドイツを抜き、
世界3位になったというニュースが飛び込んできた。
マーケットにおけるひとりのプロフェッショナルとして心から嬉しく思う。
でも、まだまだこれからだ。

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