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原点への回帰

ブドウの栽培、そしてワインの醸造はこの20年ほどで劇的な変化を遂げた。

特に醸造面での進歩は目覚ましく、かつて生産者が頭を悩ませた様々な事象を現代ではほとんど問題ないレベルでコントロールできるようになった。
それに伴い、ワインの品質はかつてのそれより素晴らしく向上し続けている。
消費者としては安定して美味しいワインが飲めて非常に喜ばしいことである。

一方で昔ながらのワイン造りを続ける産地や生産者も存在する。
今回は世界最古の産地にして当時の造りを伝承するジョージアのワインから
ニコロス・アンターゼのムツヴァネ2014(トップ写真右)。

ジョージアワインの特徴として真っ先に思いつくのは熟成容器クヴェヴリ。
粘土を原料とする甕(カメ)にブドウのジュースと果皮を入れ土中に埋める。
あとは何もせず大地の中で発酵が進みワインになるのを待つだけである。
現代的な技法と比べるとまさに神頼みに近いワイン造りである。

こんなプリミティヴなやり方で造られたワインが素晴らしかったりするから
ワインを飲むのも辛いソムリエの仕事もやめられないのである。

醸しの長さからくる琥珀とオレンジの中間色。まさに元祖オレンジワイン。
味わいは過去に経験したことのない風味とエネルギー感。
じんわり染み込んでくる旨みとフィニッシュを引き締めるタンニン。

これが太古から続く造りのワインなのかと感慨深かった覚えがある。
今でこそ当たり前のようにグラスワインやペアリングで使ったりしてるが
こんな未知のワインを許容してくれるゲストとマーケットには感謝しかない。

これからも様々な造りのワインが生まれては消えていくのだろうけど
原点とも言うべきクヴェヴリワインはいつまでも残るのだろう。

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