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イラストレーターのわたしが、漫画を描くときに気をつけること|双森文

KUAイラストアドベントカレンダー、12月19日はイラストレーターの双森文先生から『イラストレーターのわたしが、漫画を描くときに気をつけること』です!


初めまして。京都芸術大学イラストアドベントカレンダー19日目を担当する、イラストレーターの双森 文と申します。

普段のお仕事ではイラストをメインに、漫画や簡単なループアニメーションを描いています。今回は、漫画やイラストを描く際に私が気をつけている表現方法の違いをお伝えしたいと思います。

イラストレーターの私が漫画を描き始めたキッカケ

その前に、私の自己紹介をさせてください。実は漫画を描き始めたのは最近。自分の体験をTwitterで描いてみたら、たくさんの反応をもらったのがキッカケです。

そのツイートがこちら

ある日、たまたま燻製に関する記事を読んで「家で燻製が作れるの!? 楽しそう!」と実際に作ってみたんです。

すると本当に美味しく……。この感動を誰かに伝えたい!と早速Twitterに漫画を投稿しました。

(その記事はツイートのツリーに載せていますので気になる方はぜひ試してみてください!)

後に、この記事を書かれた姉妹サイトさんから漫画のお仕事をいただくように。

他にも、お仕事でハーゲンダッツを紹介する漫画も描かせていただきました。

漫画の時に意識する「柔らかさ」とは

こんな私ですが、漫画を描く時にはイラストとは違った「柔らかさ」を表現できるよう、意識して描いています。基本的に、漫画は1枚絵のイラストよりもたくさんの情報を伝えたいときに使用されることが多いです。そのため多くを描き込まず、シンプルさとデフォルメを意識して読みやすさを重視しています。

ページ数の少ない漫画は、ラフさがある方が「読んでみようかな」と、とっつきやすさを感じませんか?かっちり引かれた線や描き込みの多い塗りは、見応えのあるしっかりとした絵という印象を受けやすいと思います。それもとても素晴らしいのですが、個人的には見た時にホッと優しい気持ちになれる雰囲気が好きで、大切にしている部分です。

・シンプルな線・塗り
・ラフさ
・見せたいメインの物は大きなコマで1枚イラストの様に描く
・メインの題材が食べ物の時は質感を重視する
・文字サイズを変える
・コマのサイズを変える

塗りはベタ塗りか水彩風で。人物は頭身を低くし、色も明暗差や彩度を低めに設定することで優しい印象が出るように気をつけています。

線は強弱をあまりつけず、さらっとした印象になるように。直線を描くときもガイドを使ってまっすぐ描くのではなく、少し手振れが残るくらいのフリーハンドで描くようにしています。ラフな線になることで、柔らかく優しい印象を与えたいからです。

シンプルな線・塗りにこだわる一方で、メインで見せたいものだけは質感を重視して描き込むようにしています。他のシンプルな線・塗りで構成されているコマとの対比で目立ちますし、食べ物の場合は彩度高くツヤ感があると美味しそうに見えます。あわせてコマをページの半分程度使って大きく描くと、さらに目を引くと思いますよ!

他にも、コマの直線を吹き出しの曲線で遮るというテクニックも。漫画のコマって絶対直線なので、全体的に印象が硬くなりがち。そんな時に吹き出しの曲線で雰囲気を柔らかくできるんです。このテクニックは漫画だけでなくイラストにも使えるので、次の項目で詳しくお伝えしていきます。

漫画とイラストは、どこが違う?

イラストは本当にたくさんのことを考えながら描いているのですが、今回は漫画と同じ部分・違う部分に注目して説明します。

まず、共通する部分から。イラストも漫画も、世間に受けそうなテーマを考えるよりも、自分が描きたいものを描いています。

大好きなアイスをテーマにしたり、好きな雰囲気の写真をたくさん集めて「こんな雰囲気が描きたい!」と思って描く。その方が絶対描いていて楽しいし、1番大切なことだと思っています。

ですが、「描く」という作業に対しては漫画とイラストで少し変化をつけています。例えば、私が好きでよく描いている室内の絵のモチーフには「家具」が多く登場します。実は、家具は「直線」がとても多いモチーフ。そのまま家具を描くと、直線が必然的に多くなり、印象も硬く絵が単調になるような印象を受けます。

そんな時に使えるのが、直線を遮るために別の家具を手前に置いたり、丸い曲線の物を意識して描くテクニック。例えばフローリングの上にラグを置いたり、棚の手前に植物を置いたりして、直線を遮るようにしています。

上でお伝えした「四角いコマを吹き出しの曲線で遮るテクニック」と同じイメージです。これは柔らかさを表現するのにとても効果がありますので、ぜひやってみてくださいね!

「描き込みの量」は、イラストと漫画では変えるようにしています。
漫画は極力シンプルにして、伝えやすさを重視しますが、イラストはたくさん物を配置し、描き込み量を多くしています。見所が多い方が見ていて楽しいと思いますし、描くときも楽しいです!

逆に、漫画の場合は文字要素も入って来ますし、モチーフが多すぎると全体的にごちゃごちゃした印象になってしまいます。描き込みが活きてくるのはイラストだからこそだと言えるかもしれません。

まとめ

漫画とイラストで意識していることを書いてみて、共通点と相違点が見えてきました。

●共通点
・ラフさ
・直線を減らし柔らかい雰囲気に
・テーマの選び方

●相違点
・情報量
・描き込み
・コマ割り
・人物の頭身など

このように、同じ「描く」でも漫画とイラストでは大きく違う点があり、使う頭も違うなといつも思っています。より伝えるためにはどういうところに気をつけたら良いか、これからももっと考えながら見つけ出していきたいです。

プロフィール

双森 文(ふたもり ふみ)
https://twitter.com/fumi_futamori

フリーランスイラストレーター
京都芸術大学通信教育課程イラストレーションコース非常勤添削講師
えほん「おひめさまのクローゼット」イラスト担当


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