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iPadグラレコ|現代のメディア意識を探る「メディア環境設計研究所 第一回研究会」


こんにちは、くぼみ(@kubomi____)です。

先日、法政大学で新たに設立された「メディア環境設計研究所」の「第一回研究会」が行われ、グラフィックレコーディングを担当しました。


テーマは、私たちの生活をとりまく「メディア環境」。マスメディアとソーシャルメディアの実態、大人と若者の情報意識の違い、メディアと生活の関係について、議論されました。

発表40分+ディスカッション50分を2セットという、発表よりもディスカッションに比重を置いたタイムスケジュール。色々なイベントに行きましたが、正直なところ、これほど面白い議論を見たのは初めてです。

このような研究会でのグラレコの意義についても考えました。この日の議論をもとに研究をまとめていく狙いがあると聞いていたので、グラレコがこれからの研究の議論に役立てるよう、ディスカッションで生まれた視点や論点をしっかりつかまえることをミッションとし、挑みました。

▼メディア環境設計研究所代表の藤代裕之さんのYahoo!ニュース記事でも、グラレコとともに、この研究会について触れられています。

▼法政大学に「メディア環境設計研究所」を設立し、第一回の研究会を行いました - ガ島通信

メディア環境設計の必要性

藤代裕之准教授(法政大学社会学部)(@fujisiro

マスメディアで育った大人と、ソーシャルメディアで育った若者では、メディアに対する意識が、「なんかちがう」、でも「答えは分かっていない」。この日参加した、マスメディア、ネットメディア、広告代理店、大学からの参加者たちと、その違いを探る会としてスタートしました。

ミドルメディアのプロトタイピングから見える大学生のニュース意識

野々山正章さん(softdevice inc.)(@Lily_nonnon

ニュース体験の提案とプロトタイピングを行う大学の授業から、大学生のニュース意識を探る研究。研究発表のあと、議論が白熱しました。発表と議論を分けるため、発表は黒、議論にはオレンジを採用しています。どこに疑問が生まれたか、参加者は何を知りたいのか、どんな新しい切り口が見つかったかを中心に、議論の流れを視覚化しました。

「リズム」というキーワードをきっかけに、マスメディア世代とソーシャルメディア世代の違いが浮かび上がりました。朝刊、夕刊、月9といったメディアのリズムに合わせてオンエアを見る時代は終わり、いまは個人が自分のアクティビティをトリガーにしてメディアを選ぶ時代だという話に、驚きつつも納得する声が多かったように思います。

「ニュースは落とし所がない」という考察から、大学生のニュース意識の構造を探る議論が多くなされました。

大学生のニュースに対する態度-沖縄のフェイクニュース調査から-

法政大学の学生さんからのLT

沖縄の若者は、本当にフェイクニュースに騙されているのか?という疑問を調査した研究からは、メディアに対する若者の信頼感・不信感がどこから来るのかという議論が生まれました。

同じ事実を扱っていても、マスメディアを通すと「歪んだファクト」として不信感がつきまとうのに対し、オピニオンリーダーの発言は「色のないフラットな意見」として扱われるギャップがあるというのが、面白い発見でした。

新しいメディア満足の作り方

吉川昌孝さん(博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所長)

博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所が実施しているメディア定点調査2019年の紹介。定量調査と定性調査から見えた、「生活者はメディア満足を求めている」というレポートのあとには、メディアの満足とは何かについて議論されました。
情報希少時代にはコンテンツに触れられるだけで満足だったが、情報過多時代の今、いかにハズさず面白い情報をインプットし続けられるかという「コスパ」が非常に重視されるという構造が見えました。

研究会の感想

半日に及ぶ討議もあっという間でした。これほどの議論は見たことがありません。メディア環境をテーマにした研究発表から、マスメディアとソーシャルメディアの現状、大人と若者の情報意識の違いについて議論され、さらにはメディアと生活の関係にまで、議論はひろがりました。3つの全く異なる研究から、共通した構造が浮かび上がったというのが、この日の研究会の一番の面白いところでした。話しっぱなしで意見が消えていきがちなディスカッションがメインのこういう会だからこそ、グラフィックレコーディングによって視覚化し、振り返りや今後の研究のさらなる議論の糧にしてもらうことが重要だと感じます。


「グラレコのヒミツ」では、グラフィックレコーディングの実践で気づいた学びを紹介しています。よければこちらも合わせて読んでください。


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