コルクアート 第17作 「浅草 弾左衛門」
次作コルクアートのモチーフ、浅草弾左衛門という人にこれから取り組みます。
浅草に住んでもうすぐ10年、「ワインと浅草」の接点ってなかなか見えなかったのですが、僕なりに歴史を紐解くことで触れ合うところを見つけたい。そんな思いで選びました。
ちなみに今、浅草でワインを楽しめる名店としておすすめは、
鴨料理で有名な「鷹匠 壽」
ロブションさんとのご縁をいただいた
渡辺シェフの「ナベノイズム」
妻と同級生でとても親近感のある
荒井シェフの「オマージュ」
があります。この素晴らしい3店は是非コンプリートしてください😊
そしてここに加えてと言ったらたいへん手前味噌ですが、欧米文化と江戸の歴史の親和性を手繰ったフォローが効いたら、外国人がひっきりなしにやってくる浅草にもっとワインの匂いがさらに漂って行くのかな〜と考えてみました。
僕の住む浅草の北側(雷門や浅草寺から隅田川を登ったエリア)は革の産業が活発。いろいろな革の問屋さん、江戸の履物屋から発展した靴屋さんがあり、職人さんがいます。
さて。この「革」です。
身近な暮らしの中では、靴や鞄、お財布やベルトや服、ソファ、自転車のサドル(もとは鞍かな)など、いろいろありますね。
この革(本革)は、考えればすぐ分かりますが動物の「皮」から来ています。
しかし、です。
動物から皮を取る。牛、馬、豚、鹿、山羊、羊、ダチョウ、ヘビ、ワニ、サメ・・・
これらの皮を取るということの多くは、食用として捕食した動物の副産物として利用されてきました。
世界中の食べ物が手に入る現代ですが、日本の食文化を遡るとアイヌや沖縄など一部の慣習があった地域以外では長く、これらの皮をもつ動物の肉食は一般的ではなかったように思います。
稲作と魚貝、山菜などを中心とする食生活、肉食を推奨しない仏教や、殺生を禁ずる生類憐みの令なども発令される中、武士の甲冑や刀の柄、靴などの軍事用に動物の革を加工することを許されていたのが、江戸のお膝元、北浅草の人々でした。
食べるために殺生することのない動物の皮を扱うのは、穢多非人と呼ばれた人。そしてそれらをこの地で取りまとめていた人物が、今回モチーフとする穢多頭、とも呼ばれる弾左衛門です。
弾左衛門こそ、浅草の皮革産業の父と呼ばれているのです。
過去にあった被差別部落、身分差別とはどういうことか。
皮を利用すると同時に、命をいただく「食べること」とはどういうことか。
鎖国が解かれ、世界と出会い肉食の民族の文化と交流が盛んになる中で変わっていく日本の暮らし、食。ワインがやってきて、山梨や長野でのワイン用葡萄栽培が国策になったのもこの頃。
江戸〜明治維新〜戦前・戦後〜現代と、考えるきっかけにもなると思います。
革を扱う職人さんたちには歴史をきっかけに食に関心を寄せて欲しいし、食の分野にいる自分達は浅草に根づいている革の産業をきっかけとして街に歩みより、これからたくさん訪れるご来客のおもてなしに繋げていくことが出来たら良いなと思います。
人と人とのコミュニケーションをなめらかにして、コミュニティを作ってしまうのがワイン。ワインを飲みながら革の職人さんたちと話がしてみたい。
カッコいい革のソムリエエプロンもお願いしたいな。
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