2000年 8/18の日記 コードバンの靴

今後noteをブログ代わりにも使おうと思います。
今回は消滅してしまったHPで書いていた日記をアップします

19年前の日記です
ちなみにこの日記の中から、きゅうり、風呂を漫画に起こしました

ではどうぞ

2000.8/18

散歩が趣味の僕。
これは革靴も趣味でもある僕にとっては非常に好都合であって、一石二鳥。
今日も好きな靴を選び、いざ散歩に出発!

 
本日選んだ靴はコードヴァンという素材で、これはムチでバシバシと叩かれ、「たこ」になった農耕馬のお尻の革であり、非常に丈夫な素材である。それとは裏腹に水に弱いという弱点も持ち合わせ、なんだか人気アニメヒーローの必須条件かと突っ込みをいれたくなる様なシロモノであり、僕は好きである。



しかしこんな日に限って、である。
不意の夕立ち、その時僕は自宅近くの駅。アニメのヒーローならば弱点を克服し、敵を倒すところだが、コードヴァンに正義感も、今は防水スプレーもないので、雨宿りをし、少し様子を見る事にした。しかし雨は一向にやむ気配がない。それどころかその勢いが、アスファルトに跳ね返った雨粒が煙る程になっている。なんたること。駅から自宅までは二分足らずというのに。

それから1時間、雨はどうしても僕を帰らせたくない様なので、反旗を翻すことにした。コードヴァンの靴はシャツの下。靴下で走って帰ろうという魂胆だ。ちなみに僕は33歳。
マンガ家といえども社会の一員である。この行為の意味するところは分かっている。でも大丈夫!僕には勝算がある。自宅までは二分、この雨では人もそう居まい、居たとしても傘で視界が悪いか、僕と似た境遇で人になんかかまっちゃ居られまい。

いちにのさんで雨の中、なぜか笑いが込み上げる。ああ面白い、面白い。もう少し走っていたい気さえしてきた。案の定誰にも逢わないゾ。

自宅に到着。33才の男は勝負に勝ったのだ。ああ面白い、面白い。雨が染みてびしょ濡れのコードヴァンの靴を見ても気にせず僕は笑っていた。


注釈
本日履いていた靴はコードヴァンという素材で、これはムチでバシバシと叩かれ、「たこ」になった農耕馬のお尻の革であり-
*これは一昔前に言われていた事でした。現在は農耕馬も少なくなった為、他の馬の革でもコードヴァンと言います。しかも鞭で叩かれてたこになった、というのは怪しい話で、馬の何頭に一頭かは、生まれながらにお尻に細かい繊維質の層を持っている馬がおり、その馬の革だけがコードヴァンと成りうるのだそうです。どちらにしても貴重な革です
あと雨に弱いというのはシミができやすい、艶が消えてしまうという意味で、油分を多く含むコードヴァンの靴は防水という点においては優秀だそうです




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