新しい子育てインフラづくりの始まり

 2015年7月、「ツールやコンテンツ、人や情報が行き交う教育・保育現場のプラットフォームを構築する」という思いのもと立ち上げたPLAce株式会社。まずはツールやコンテンツ、情報などの提供者として実践することを始めて2年が経ちました。

 これまで高校や大学での授業設計・実施、小学生や未就学児対象の体験イベントの企画・実施、保育園・幼稚園向けの玩具開発・販売などを様々なことを実践。その中で、たくさんの保育、教育現場の関係者や子ども・教育をテーマにした事業者などに出会いました。

 これらの実践や人との出会いの中で、これから会社として集中して挑戦していくところが定まってきました。


情報格差が広げる教育格差

 最近はe-learningなどが発達し、世界中の教育コンテンツへのアクセスが容易な時代がきています。しかもそれらは無料もしくは安価なものが多い状況です。

 私も最近、プログラミングをオンラインで学習しています。プログラミング一つとっても、動画で解説してくれるもの、ドリルのように少しずつ実践して積み上げていくもの、オンラインで専門家とつないで教えてもらえるものなど、様々な学習サービスがあり、それらを試す中で自分にあった教材を探せます。しかも、無料のものもたくさんあるので、それらで基礎的なことは学び、あとは自分の作りたいものに合わせてやり方などを検索していけば、ほとんどお金をかけることなく、Webサービスやアプリ開発を学べてしまいます。

 このように以前であれば高額な受講料を支払ったり、都市部に行かないと学べなかったりしたことが、インターネット接続ができれば安価に、どこにいても学べてしまう状況が整いつつあるのです。しかし、それでもまだ、そのような機会を享受できない子どもはたくさんいます。なぜなら、それら学習機会の存在を「知らない」からです。

 情報感度の高い人たちは、どんどんと世界中の最先端の情報や教育機会に触れ、様々なことを学習・応用することができます。一方で、それらを知らない人たちは、そのような機会に触れることなく日々を過ごしていきます。結果、これまでとは少し異なる形で教育格差が進んでいくでしょう。まだまだ経済面との相関関係はあると思いますが、必ずしも経済的な格差がボトルネックではなく、情報格差がボトルネックになりつつあると言えます。


知らないだけで逃している教育機会

 オフラインでも様々な学びの機会が増えていると感じます。まだまだ都市間の差が小さくはないですが、色んな地域で思いを持った人たちが子ども向けイベントを実施しています。私たちも工作や実験イベントを毎年住んでいる地域で開催していますが、探してみると公民館などの地域のスペースを利用して子どもや親子向けイベントをする人たちがいます。でも、自分の身近な場所でそのような取り組みが行われていることを、どれくらいの人が知っているでしょうか?

 自分の子どもの月齢(年齢)に合った教育機会ってどんなものだろうか?オンラインで、もしくは住んでいる地域で学べる機会は何があるのだろうか?子どもの興味・関心を伸ばしてあげられる機会は?視野をもっと広げてあげられる機会は?・・・

 このようなことは教育熱心で情報感度が高い保護者なら、自ら検索して見つけ出し、それらの機会を享受するかもしれません。しかし、そもそも「検索する」という行為は、「検索ワードを知っている」、「検索すれば何らかの答えがあると知っている」からこそ行える行為であり、全く知らない人にとっては、検索するという発想が浮かぶことも難しいことではないでしょうか。

 「インターネットでいくらでも情報が手に入るのだから、情報がないというのはその人の怠慢だ」と切り捨てる人がいます。しかし、確かにインターネットは様々な情報に”繋がっている”かもしれませんが、自分から取りに行かなければ、勝手に情報を”届けてくれる”わけではありません。また、共働きが増え、仕事に家事に追われており、目の前の子どもと向き合う時間を捻出するので精一杯の家庭もたくさんあるでしょう。その人たちのほとんどは決して子どもに対する思いが足りないわけでも、サボっているわけでもないはずです。

 教育のコンテンツやサービス、商品などは増えました。それらが様々な家庭に届く仕組みが圧倒的に足りていないのです。


各家庭に一歩先の教育機会を

 例えば、子どもの年齢、住んでいる地域などから、子どもに合わせた子育てコラムや教材・サービスの情報、身近なイベントの情報が受け取れたらどうでしょう?それらの閲覧や参加、購入などの履歴が蓄積し、さらに子どもの興味・関心や発達などから、より最適な子育て・教育情報を手に入れられたら?

 様々なサービスを利用するには、そのサービス毎に個人情報などを記入し、申し込みをしなければなりません。最近、子どもの予防接種のため、子ども毎に何度も親の情報を記入しましたが、医療情報も含めて、子どもにまつわる記入事項はたくさんあります。それらが一つのサービスから予約や申し込みができたら?そのようなサービスや商品、イベントなどの費用も、モバイル上で決済までできたら?

 子育てや教育にはどうしても費用がかかる場面も出てきます。子どもがどのような年代になると、どんな費用がかかる可能性があるのかを知ることができれば、それらに備えられるかもしれません。さらに、それらを捻出するためのファイナンシャルプランニングについて相談や支援を受けられたらどうでしょう。実は手が届かないと思っていた様々な機会が手が届くようになるとしたら?

 これらは実現したい未来の一端です。


Platform × Portfolio = 新しい子育てインフラ

 Platform(プラットフォーム)として子育て・教育の情報やサービスなどが行き来し、Portfolio(ポートフォリオ)として教育などの履歴が蓄積されていく。そんな新しい子育て・教育のインフラをつくっていくことに挑戦します。そして、保育園・幼稚園や小学校〜大学など、子どもの成長に寄り添うのはもちろんのこと、人生100年時代における人の生涯の学習・成長に寄与するインフラとなることを目指します。

 この新しいインフラづくりの入り口を今年の夏に見つけました。この入り口が本当に目指す未来に繋がっているかは、入ってみないとわかりません。途中で道がなくなるかもしれません。その時は穴を開けたり、橋をかけたりして未来を目指します。そのためには共に走る仲間が必要です。協力や協働する人たちも必要です。

 Webサービスが中心になるので、それらを設計・構築する必要があります。様々なデータを蓄積・分析する必要があります。SaaSなど、サービスの提供の仕方も検討が必要です。それらをユーザーに届けるための営業も必要ですし、それらインフラに乗せていく様々な商品・サービスとの協業や広告などを獲得しなければなりません。適切な資金の投資、段階に応じて資金調達も必要です。当たり前ですが、これらは一人ではできません。

 これから私自身も学び、自身の能力や視点を磨きながら、一緒に旅に出る仲間を探します。この挑戦を通じて、保護者や保育・教育に携わる人たちに余裕ができ、そこに様々な教育機会が提供され、世界中の子どもたちが生涯を通じて多様な教育機会を享受できるようになる。そんな世界を一緒に作りましょう。

 子どもたちの学びのために


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